陳湜

陳湜（ちん しょく）

陳湜（1831年 - 1896年）は、清朝末期の軍人であり、字は舫仙と称しました。湖南省湘郷の出身で、その生涯は動乱の時代と深く結びついていました。

湘軍への参加と太平天国との戦い

1856年、陳湜は湘軍に加わり、曽国荃の指揮下で江西省における太平天国軍との戦いに身を投じました。1858年には蔣益澧に従って広西省で大成国との戦いに参加し、その勇猛ぶりを発揮しました。

1859年、太平天国の有力な指導者である石達開が宝慶を包囲した際には、数千の兵を率いて救援に駆けつけました。李続宜と協力して石達開軍を撃破し、その名を轟かせました。1860年からは安慶を包囲する曽国荃軍に加わり、翌1861年に安慶が陥落すると、その功績により道員に抜擢され、一軍を率いることを許されました。1862年からは南京の包囲にも参加し、バトゥルの称号を得るなど、その軍事的な才能は高く評価されました。

1864年、南京が陥落した際には、脱出した太平天国の重要人物である李秀成を捕らえるという大きな功績を上げました。これらの戦功により、陳湜は湘軍の中で確固たる地位を築きました。

その後の軍歴と晩年

1865年、陳湜は陝西按察使に任命されましたが、その後、山西按察使に移されました。張宗禹率いる捻軍との戦いでは、1868年に防衛体制の不備を理由に解任されるという挫折も経験しました。しかし、1870年には再び軍務に復帰し、左宗棠の回民蜂起鎮圧に参加し、再び功績を上げました。

1882年には、かつての上官である曽国荃が両江総督に就任すると、その要請に応じて呉淞に駐屯し、水陸両軍を統率して海防にあたる任務を担いました。しかし、この時も不行跡を理由に免職となるという苦難を味わいました。1886年、再び召し出され、南洋水軍・湘軍・淮軍を統括するとともに、江蘇按察使を兼任しました。

1894年、日[[清戦争]]が勃発すると、陳湜は山海関の防衛にあたり、翌年には鞍山に駐屯しました。終戦後、江西布政使に抜擢されましたが、その後再び山海関の防衛を任されました。彼は長きにわたり曽国荃に従い、その信頼は厚く、しばしば失敗も経験したものの、その軍事的な手腕から宿将と称されました。

陳湜は、清朝末期の動乱期において、その生涯を軍人として捧げ、多くの戦いを経験しました。その功績と挫折は、当時の清朝社会の複雑さと、激動の時代を生き抜いた人々の姿を映し出しています。

出典

『清史稿』巻432・列伝219

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