陳珪

陳珪について

陳珪（ちん けい）は、中国後漢末期の官僚であり、その生涯や経歴は多くの人々に興味を惹かれます。彼の字は漢瑜であり、出身地は現在の江蘇省淮安市漣水県に相当する徐州下邳国淮浦県です。陳珪は歴史的な背景を持つ一族に生まれ、曾祖父は陳屯、祖父は広漢太守を務めた陳亹、伯父は太尉を務めた陳球という名門家系として知られています。さらに、彼の従兄弟にも名将が多く、ほぼ全ての家族が高い地位にありました。特に彼の子である陳登は歴史に名を残す存在となります。

官僚としてのキャリア

陳珪は若くしてその才能を評価され、孝廉に推薦されると、劇県の令に就任しました。しかし、彼は一度官職を退き、その後、茂才に推挙されました。その後、済北太守に就任し、190年代には豫州沛国の相を務めていたと言われています。この時期、中国は混乱の最中にあり、様々な勢力が戦いを繰り広げていました。

194年、彼が認識していた陶謙が亡くなると、陳珪の子である陳登は孔融と共に、劉備に対し徐州刺史になるよう説得を試みました。しかし、陳珪自身はその後、揚州を中心に影響力を持ち、朝廷から半ば独立していた袁術からの勧誘を受けました。袁術は陳珪と同じく漢の大官の子孫であり、若いころから交流があったための誘いでした。

対袁術との対立

しかし、陳珪はその誘いを辞退し、時勢が曹操に支持されていく中で朝廷に仕官し続けることを選びました。陳珪は、袁術が呂布との縁談を持ちかけようとする動きを見て、二人の提携が騒乱をさらに悪化させることを恐れ、その破談を呂布に提案しました。この対応が怒りを買い、袁術は張勲を率いて徐州を攻撃しました。

その際、呂布は陳珪に対し「貴公のために袁術が攻めて来たのではないか」と詰問しましたが、陳珪は巧妙な策略を用いて袁術軍を混乱させ、これを撃退しました。さらに、彼は子の陳登を送り込み、呂布に対して左将軍の位を与えることで、その気を引きました。そして、陳登を介して呂布を討つよう曹操に促しました。これにより、陳珪は多方面で巧みな指導力を発揮しました。

死後の評価と後世の影響

陳珪はその死後も、徐州下邳国にある墓が記録として残っており、『三国志』や『後漢書』に登場します。また、小説『三国志演義』では、彼の活躍が語られており、その様子は巧妙さと老獪さが織り交ぜられていますが、特筆すべきは彼が曹操ではなく劉備に心を寄せていたとされる点です。この物語が後世にどのように伝えられるかは、陳珪の評価に大きく影響を与えていることでしょう。

同名の別人

余談ですが、後に魏の司馬として名前を残す陳珪という人物がいます。この人物は238年に遼東の公孫淵討伐に参加し、名将司馬懿の参謀を務めたと言われていますが、本記事の陳珪との関連性は不明で、その同一性は年齢的に難しいと考えられています。陳珪の名声は、同姓同名の人物と区別されながらも、後漢末期の歴史の中で重要な役割を果たしています。

もう一度検索