陳瑄

陳瑄（ちん せん）

陳瑄（1365年 - 1433年）は、明代の官僚であり、軍人としても活躍しました。字は彦純といい、本貫は廬州合肥県です。

生涯

陳瑄は陳聞の子として生まれました。父の都指揮同知の職を継ぎましたが、父が事件に連座して遼陽へ流刑となった際、陳瑄は自らが処罰を受けることを願い出ました。しかし、洪武帝は父子ともに元の職にとどめる決定をしました。若くして大将軍の幕下に入った陳瑄は、飛ぶ雁を射抜くほどの弓術の腕前で賞賛されました。

西南の少数民族への征討に幾度も従軍し、越巂の攻撃、建昌の月魯帖木児の討伐、梁山の制圧、天星寨の平定、寧番諸族の撃破など、数々の戦いで功績を上げました。塩井を攻め、卜水瓦寨に進攻した際には、敵軍に包囲されるも、自ら馬を降りて弓を射て戦い続け、負傷しながらも全軍を帰還させることに成功しました。

さらに賈哈剌討伐では、奇襲を仕掛けて打沖河を渡り、間道を見つけて浮き橋を架け、軍を渡らせました。渡河後には橋を撤去し、兵士に退路がないことを示して連戦し、敵軍を破りました。雲南の兵と合流して諸族を征討し、四川行都司都指揮同知に転任しました。

1402年、陳瑄は右軍都督僉事に転じました。燕軍が長江に迫ると、建文帝の命で水軍を率いて防衛線を張りましたが、浦口で盛庸が敗れると、陳瑄は水軍を率いて燕軍に降伏しました。この降伏が、後の永楽帝となる燕王朱棣が長江を渡るきっかけとなりました。永楽帝の即位後、陳瑄は平江伯に封じられ、指揮使の位を世襲する権利を得ました。

1403年、陳瑄は総兵官として海運を統括し、49万石以上の粟を北京と遼東に輸送しました。直沽に百万倉を建設し、天津衛を築城しました。また、島民との交易を公平に行ったことで、互市を歓迎されました。海運中には沙門島で倭寇に遭遇し、金州白山島まで追撃して、倭寇の船を焼き払いました。

1411年には、豊城侯李彬とともに浙江・福建の兵を率いて海賊の討伐を命じられました。同時期、海門から塩城にかけての沿岸地域で高潮の被害が発生したため、40万の兵を動員して防潮堤を整備しました。1412年には、嘉定が海に面した地でありながら高山大陵がないことから、青浦に土山を築くことを願い出て、宝山と名付けられました。

宋礼が会通河の改修を終えると、朝廷では海運を廃止する議論が起きましたが、陳瑄は運河の水運を監督することになりました。喫水の浅い船2000隻を建造し、輸送能力を当初の200万石から500万石にまで高めました。江南から北上する船が淮安で陸運に切り替えざるを得ない状況を改善するため、1415年には淮安城西の管家湖から20里にわたる溝を掘り、清江浦を造成しました。湖水を淮河に導き、水門を設置して水位を調整できるようにしました。さらに湖の周囲に堤を築き、運河を直通させました。その後、徐州から済寧州までの河道を浚渫し、呂梁での洪水対策として、河道の西側に別の溝を掘り、水門を設けて排水できるようにしました。また、沛県の刁陽湖や済寧の南旺湖に長い堤防を築き、泰州の白塔河を開削して長江に通じさせました。高郵湖に堤防を築き、湖内に溝を掘ることで波浪の危険を避けられるようにしました。淮河から臨清までの水勢を調整する水門を47か所設置し、常盈倉を淮上に40か所、徐州・臨清・通州にも倉庫を設けました。また、船が浅瀬で座礁するのを防ぐために、淮河から通州までに568か所の兵舎を設け、兵士に船を誘導させました。河道沿いの堤防には井戸を掘り、木を植えて、旅人の便益を図りました。

1424年、洪熙帝が即位すると、陳瑄は七事を上疏して聞き入れられ、世襲の権利を改めて与えられました。1425年、宣徳帝が即位すると、陳瑄は運河の水運監督の役目を担いつつ、淮安を守るよう命じられました。1429年、済寧以北の河道が塞がっていたため、12万人の動員を上奏し、宣徳帝は長年の労苦をねぎらって工部尚書の黄福とともに運河の水運を管理させました。1431年には、江南の民の食糧輸送の労役を軽減するため、民には近くの衛所まで食糧を運ばせ、官軍が北京まで輸送するように提案し、実行されました。

1433年、陳瑄は在官のまま69歳で亡くなりました。平江侯に追封され、太保の位が追贈され、恭襄と諡されました。子の陳佐が平江伯の爵位を継ぎましたが、その後、陳佐の子の陳豫が爵位を継ぎました。

脚注

参考文献

『明史』巻153 列伝第41
平江侯恭襄陳公神道碑銘（徐紘『明名臣琬琰録』巻16所収）

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