陶長房

陶長房（すえ ながふさ）

陶長房は、戦国時代の武将であり、大内氏の家臣として知られています。父は同じく大内氏に仕えた陶隆房（のちの陶晴賢）であり、彼は富田若山城の城主を務めました。

生涯

陶氏は代々、大内家の重臣を輩出してきた名家です。大内義隆の時代には、陶興房の死後、その子である隆房が重臣として仕えました。しかし、義隆の側近として相良武任が台頭すると、隆房ら譜代の重臣との間に軋轢が生じます。その和解策として、武任の娘と隆房の子である長房との結婚話が持ち上がりましたが、これは家柄の違いを理由に隆房が拒絶したと伝えられています。

1551年（天文20年）、隆房は主君である義隆を自刃させ、義隆の甥である大友晴英（のちの大内義長）を当主として迎えます。長房も父（晴賢に改名）に従ったと考えられ、長房の名前にある「長」の字は、1553年（天文22年）に改名した義長から一字拝領したものと推測されます。

しかし、1555年（天文24年）の厳島の戦いで晴賢が毛利元就に敗北し戦死すると、陶家の勢力は一気に弱体化します。1557年（弘治3年）、先に晴賢によって討たれた杉重矩の子である重輔が富田若山城に攻め寄せると、長房は弟の貞明とともに防戦に努めますが、最終的には敗れて自刃しました。一説には、若山城を放棄して龍文寺に立て篭もった長房を破るために、念仏踊りに紛れて寺に侵入し、内部から攻め滅ぼしたとも伝えられています。

後に大内義長の滅亡（防長経略）時に共に自刃した陶鶴寿丸は、長房の嫡男であると言われていますが、年齢的に晴賢の子で長房の末弟とする説も存在します。

このようにして、陶氏の嫡流は断絶しましたが、地元では富田若山城落城の際に晴賢や長房の落胤が生存したという伝説も残っています。また、長房の死亡日に関しても、弘治元年10月7日説や弘治2年2月26日説など、異説が存在しています。

参考文献

防長新聞社山口支社 編『近世防長諸家系図綜覧』1980年、付録13頁。doi:10.11501/12207134。https://dl.ndl.go.jp/pid/12207134/1/171。

関連項目

陶氏
* 大内氏

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