難波家:蹴鞠の名家から華族へ
難波家は、
藤原北家花山院流を起源とする由緒ある家系です。
平安時代後期から
明治時代にかけて、
公家、そして
華族として日本の歴史の重要な場面に携わってきました。その歴史は、
蹴鞠という伝統芸能と深く結びついています。
難波家の祖は、
摂政太政大臣藤原師実の五男、藤原忠教です。忠教の子孫は代々
蹴鞠の技術に秀で、特に頼輔は「本朝
蹴鞠一道長」と称されるほどの名手でした。頼輔の子、頼経は
源義経と同盟関係にあったことから伊豆へ流されたという逸話も残されています。
鎌倉時代には、頼経の子である宗長が
蹴鞠の難波流を創始し、弟の雅経が飛鳥井流を創始しました。難波家は、宗長以降、代々
蹴鞠の名手を輩出し、難波流の伝統を継承していきました。特に宗緒は、わずか14歳にして天皇の
蹴鞠の師範を務めたという記録が残っており、その若き才能は注目に値します。
南北朝時代から江戸時代:絶家と再興
南北朝時代には、宗富の死去によって一度は絶家となりました。同時に、
蹴鞠の難波流も衰え、飛鳥井流が主流となりました。しかし、
江戸時代初期に、飛鳥井雅庸の次男である宗勝によって難波家は再興されます。宗勝は、
慶長14年(1609年)の
猪熊事件に連座して配流されましたが、3年後に赦免され、帰京後は名を雅胤(後に雅宣)と改め、実家の
飛鳥井家を相続しました。一方、難波家は宗勝の実子である宗種が継承しました。
江戸時代を通じて、難波家は
公家として羽林家に属し、家禄は変遷しながらも存続しました。初期には300石、方領100石でしたが、中期には180石となり、その後再び300石、
明治維新直前には307石にまで増加しました。
明治時代:華族への転換とその後
明治2年(1869年)の
華族制度成立に伴い、難波家は旧
公家として
華族に列せられました。
明治17年(1884年)の
華族令施行により
華族が五爵制となると、
大納言直任の例がない旧
堂上家として、宗美が
子爵に叙爵されました。宗美は陸軍
軍人として
輜重兵大尉まで昇進しました。その後、その子である宗治は満州電気水道会社大連支社長や
京都市主事などを務めるなど、活躍の場は多岐に渡りました。
系譜と参考文献
難波家の系譜は複雑であり、実子と養子が入り混じっています。(系譜図は省略)
本記事の記述は、以下の文献を参考に作成されました。
浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』
太田亮 著「
国立国会図書館デジタルコレクション 難波 ナニハ」、上田, 萬年、三上, 参次 監修 編『姓氏家系大辞典』
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
華族大鑑刊行会『
華族大鑑』
日本の名字七千傑「藤原氏師実流」
公卿類別譜「難波」