雲仙丸

雲仙丸（うんぜんまる）

雲仙丸は、三菱重工業横浜船渠で建造された日本郵船の貨客船です。1941年8月に起工し、翌1942年10月に竣工しました。当初は門司 - 大連航路に就航する予定でしたが、竣工後は船舶運営会使用船として徴用され、門司 - 上海航路で輸送任務に従事しました。自衛用として、8cm砲1門と爆雷4個を装備していました。

第二次世界大戦中の活動

1943年中頃からは、新潟 - 羅津航路に転じました。同年10月には日本海で潜水艦の攻撃を受けましたが、魚雷は不発だったため、機関室へのわずかな浸水のみで済みました。しかし、その4日後には関釜連絡船が攻撃を受け沈没しており、雲仙丸の乗組員たちは危機を逃れたと言えるでしょう。
その後、一時的に新潟 - 樺太航路に転配され、再び新潟 - 羅津航路、さらには敦賀 - 清津航路にも就航しました。1944年には陸軍臨時配当船として軍事輸送にも従事しました。終戦間際の1945年6月には、境港で触雷し浸水しましたが、応急処置により難を逃れ、修理のため富山港へ向かいました。しかし、その途中で能登半島西岸に座礁してしまいます。約2週間後に自力で離礁し、修理を受けました。

戦後の引揚船としての活動

終戦後は、GHQの管理下に入り、引揚船として活躍しました。1945年9月には舞鶴港から朝鮮半島へ、また釜山港から博多港へ引き揚げ者を輸送し、同年10月には再び舞鶴港へ引揚者を送り届けました。
1946年12月には樺太からの第一陣を函館港へ運びました。その後もナホトカや釜山からの引き揚げを行い、合計4,745名もの人々が雲仙丸によって故郷に帰ることができました。

練習船「銀河丸」へ

1949年4月に徴用が解除され、1950年4月から釧路 - 東京航路に就航しました。1954年8月20日には、運輸省航海訓練所の練習船「銀河丸（初代）」となりました。1973年1月には、新設された海洋技術開発学校で係留練習船となり、1974年5月14日に解体されました。

雲仙丸は、戦時中は輸送任務をこなし、戦後は多くの人々を故郷へ送り届けた、歴史的に重要な船でした。その数奇な運命は、日本の歴史の一部として語り継がれるべきでしょう。

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