震旦大学

震旦大学（Université l'Aurore）

震旦大学は、1903年から1952年まで上海に存在したカトリック系の大学です。フランス語ではUniversité l'Auroreと表記されます。

概要

1903年2月27日、中国人教育家の馬相伯とフランスのイエズス会によって震旦学院として設立されました。創立者の馬相伯は、イグナチオ公学（徐匯公学）に学んだ後、イエズス会に入り、宣教師、イグナチオ公学の校長を務めた人物です。その後イエズス会を脱会し、役人となりました。アメリカ、ヨーロッパも旅し、西欧の進んだ大学制度を中国に実現しようとしました。馬相伯は1898年にイエズス会に再度入会し、1903年2月28日にフランス宣教団とイグナチオ公学から、徐家匯の以前、天文台であった建物の部屋を借りて、24人の学生と震旦学院を創立しました。「夜明け」または「朝日」の意味の「震旦」に馬相伯の思いがこめられていました。一年後、106人の学生が入学し、その中には中国の科挙制度に合格した8人の翰林と20人以上の郷挙里選の合格者、学人（挙人）が含まれていました。1905年9月、清朝は科挙制度を廃止しました。

当初は2年制の課程で、ラテン語とフランス語、英語などの西欧言語を学んだ後、人文科学を学ぶ文科と自然科学を学ぶ理科に分かれて専門教育が行われました。キリスト教系の学校でありながら、馬相伯は宗教教理の議論や宗教教育には反対しました。創設時の震旦学院は、中国改革や革命を目指す知識人と関係が深く、梁啓超や蔡元培がラテン語を教え、革命派の于右任が学生として入学していました。

1904年9月には、イエズス会の神父フランソワ・ペラン（François Perrin、中国名: 南從周）が副校長、教務長となり、馬相伯とイエズス会は教育の方法で対立することになります。1905年8月、馬相伯と一部の学生は震旦学院を去り、復旦大学を設立しました。

その後、震旦学院はイエズス会の管理下で発展、改組され、1906年には172人の学生を抱え、革命活動は禁じられました。1907年には盧家湾に新校舎を建設。1909年には聖マリア病院（現在の上海交通大学医学院附属瑞金医院）を併設して医学部を創設し、1917年には医学博士課程も設けられました。1934年には看護学校も設立され、中国のカトリック系病院の医師の75%が震旦大学の出身者となりました。

1917年に震旦学院は震旦大学院に改称され、1930年に震旦大学と改名されました。

1932年には、法学科、文学科、理工学科、医学科の4学科を擁する大学となり、それまでフランス人イエズス会士が校長を務めていましたが、同年初めて中国人の胡文耀が校長に就任しました。1930年代には留学生も入学するようになり、1937年にはアメリカの聖心修女会の援助により、震旦女子文理学院が設立されました。

1952年、共産党政権下で聖ヨハネ大学などと統合されて上海第二医学院となり、2005年には上海交通大学と統合され、上海交通大学医学部となりました。

震旦大学は、その短い歴史の中で、中国の近代化と教育の発展に大きな足跡を残しました。

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