霊山寺 (鳴門市)

霊山寺（りょうぜんじ）

霊山寺は、徳島県鳴門市にある高野山真言宗の寺院で、山号は竺和山、一乗院と名付けられています。ここは四国八十八箇所の第一番札所として知られ、四国遍路文化の一部を成しています。また、「とくしま88景」にも選ばれているなど、観光名所としての地位を確立しています。2015年には、日本遺産の第一弾のうちの一つとして、「四国遍路 - 回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」が選定されました。

歴史

霊山寺の開創は奈良時代に遡ります。天平年間（729年 - 749年）に聖武天皇の勅願のもと、行基によって創立されたとされています。弘仁6年（815年）には空海（弘法大師）がこの地を訪れ、21日間の修行を行いました。この際、天竺の霊鷲山において釈迦が仏法を説く様子を感じ取り、この地を「竺和山」と名付けました。本堂内には、白鳳時代の釈迦誕生仏も保存されています。

室町時代には、三好氏の保護を受けて栄え、「阿波三大坊」の一つとして栄華を極めましたが、天正10年（1582年）には長宗我部元親の攻撃により、多くの建物が焼失しました。その後、徳島藩主蜂須賀光隆によって再興され、1891年の火災を経て、本堂と多宝塔以外が焼失しましたが、修復を重ね、現在の姿を取り戻しています。

札所番号

空海は弘仁6年（815年）に四国霊場を開いたとされていますが、これは伝説に過ぎず、彼が特定の札所を設定したわけではありません。江戸時代に入ると、庶民による霊場巡礼が活発になり、真念が1687年に「四国遍路道指南」を出版しました。この本には、各寺の札所番号が記載されており、霊山寺が第1番となる理由の一つとなっています。

境内

霊山寺の境内には、多くの見どころが点在しています。山門（仁王門）は入母屋造の楼門であり、本堂は拝殿と奥殿から成り立っています。拝殿の天井には龍が描かれ、多くの吊り灯篭が下がっているのが特徴です。本堂の左隅には釈迦像が置かれています。

また、多宝塔や十三仏堂、紀州接待所もあり、それぞれ独自の魅力を持っています。縁結び観音立像や鐘楼堂、大池や小池などの自然環境も訪れる人々に癒しを提供しています。

行事

霊山寺では、年間を通じて多くの行事が催されています。正月の三が日には護摩祈祷が行われ、2月には星祭りや厄除け祈祷が実施されます。特に4月には釈迦誕生会や花祭りが盛大に行われるため、期間中は多くの参拝者で賑わいます。

アクセス

霊山寺へのアクセスは、鉄道やバスなどが利用可能です。最寄りの鉄道駅はJR高徳線の板東駅で、そこから徒歩で約10分の距離に位置しています。バスを利用する場合は徳島バスの「霊山寺前」停留所が最寄りです。また、駐車場も完備されていますので、自家用車での訪問も便利です。

霊山寺は、歴史的、文化的な意義を持つ寺院であり、訪れることで四国の霊場巡礼の原点に触れることができる特別な場所です。

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