青原行思

青原行思（せいげん ぎょうし）は、生年不詳ながら、741年（開元28年）に没した唐代の禅僧です。諡号は弘済禅師、俗姓は劉で、吉州安復県（現在の江西省吉安市付近）の出身です。一説には673年生まれともされますが、確証はありません。

幼少の頃に出家し、修行を積んだ後、禅宗六祖である慧能に師事しました。慧能のもとで禅の奥義を学んだ後、故郷に戻り、青原山に浄居寺を開き、そこで教えを広めました。

『宋高僧伝』には、弘済大師として記載されています。彼の遺骨を納めた帰真塔は、会昌の廃仏で破壊されましたが、後に弟子たちによって再建されました。

青原行思の門下からは、曹洞宗、雲門宗、法眼宗という禅宗の主要な三派が生まれました。また、兄弟弟子の石頭希遷の系統も合わせると、臨済宗、潙仰宗を含めた禅宗の発展に大きく貢献しました。慧能門下からは、南嶽懐譲と並んで、後世、禅の二大祖師と称されるようになりました。

彼の禅の思想は、師である慧能の頓悟禅を受け継ぎながらも、相手が理解するまで徹底的に議論を重ねるという特徴があります。また、教えを説く際には、具体的な比喩を用いることが多く、その教え方は後の禅宗に大きな影響を与えました。青原行思の思想は、特に、曹洞宗、雲門宗、法眼宗の思想的なルーツとされています。

青原行思に関する伝記は、『宋高僧伝』巻9「義福伝」の附伝、『景徳伝灯録』巻5「吉州青原山行思禅師」、「祖堂集』巻3などに記述が残っています。

青原行思は、慧能の教えを継承しつつも、独自の視点と丁寧な対話を通じて禅の教えを深め、後世の禅宗の発展に多大な貢献を果たした禅僧と言えるでしょう。

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