青峰山

青峰山の概要

青峰山（あおのみねさん）は、三重県鳥羽市と志摩市の境に位置する標高336mの山です。一見すると標高は低いですが、伊勢湾、遠州灘、熊野灘から見渡せるため、古くから沖を航行する船乗りたちの目印とされてきました。そのため、山頂付近にある正福寺には、海の安全を守る仏様（鯨の背に乗った黄金の観音様）が安置されており、古くから船の安全祈願が行われてきました。

山にはシイやカシなどの木々が生い茂り、美しい景観を作り出しています。この豊かな自然を守るため、近畿自然歩道が設定され、多くのハイカーが訪れます。また、森林自体も、グローバル・ポジショニング・システム（GPS）の発達によりその存在価値は低下したものの、航行目標保安林として保護されています。

山頂付近には展望台が設けられており、周囲の景色を一望できます。また、デジタルテレビ放送の中継施設（磯部中継局）も設置されています。

青峰山の歴史と文化

青峰山は、地元の人々にとって重要な存在であり、その名前は山麓の港町である的矢出身の俳人、嶋田青峰の俳号の由来にもなっています。

2016年（平成28年）には、伊勢志摩サミット開催を前に、カナダのジャスティン・トルドー首相が妻のソフィー・グレゴワール・トルドーとともに青峰山を訪れ、正福寺境内を散策しました。これは、夫妻の結婚記念日に合わせた休暇の一環でした。

青峰山の地形と地質

青峰山は、鳥羽市を分類した際に「東部台地区」に属し、この地域の中で最も高い山です。また、鳥羽市内を流れる二級河川である加茂川の源流地にもなっています。

地質学的には、的矢層群に分類されます。この的矢層群は、四万十帯の一種であり、中生代の地層で構成されています。

青峰山の登山道「青峰道」

青峰山への登山道は「青峰道」と総称され、複数のルートが存在します。

鳥羽市側からは、松尾道と堅子道の2つのルートがあります。一方、志摩市側からは、的矢道、磯部道、五知道の3つのルートがあります。

近鉄が作成した「てくてくまっぷ 青峰山正福寺コース」では、近鉄志摩線松尾駅を起点とし、松尾道（旧道）を経由して青峰山正福寺に至り、磯部道を通って同線沓掛駅を終点とするコースが紹介されています。

自動車を利用する場合は、お船祭りの際に通行規制が敷かれ、鳥羽市側の松尾道（新道）を利用して山頂へ、志摩市側の的矢道を利用して下山するという一方通行の規制が実施されます。

各登山道の詳細

松尾道
鳥羽市側からの登山道で、1962年（昭和37年）に開通した自動車で登れる新道と、以前からの徒歩専用の旧道の2つがあります。鳥羽市松尾町の松尾交差点（国道167号交点）を起点とし、松尾集落を抜けて山頂に向かいます。道中には26の丁石が設置されています。
堅子道
鳥羽市側を起点とする登山道です。鳥羽市堅子町を起点とし、志摩市磯部町山田の奥部地区で的矢道と合流します。
磯部道
志摩方面からの主要な登山道です。志摩市磯部町上之郷の伊雑宮を起点に、磯部町山田、磯部町沓掛を経由して山頂に至ります。登山口から山頂まで17の丁石が設置されています。自動車は利用できません。
的矢道
志摩市側からの登山道です。志摩市磯部町的矢の的矢村神社の北側を起点とし、幣振坂、磯部町山田の奥部を経由して山頂に至ります。奥部から山頂までの区間は舗装されており、自動車の利用が可能です。一部に徒歩専用の旧道が残っていますが、通行が難しい箇所もあります。道中には66の丁石が設置されています。
五知道
志摩市側からの登山道です。志摩市磯部町五知の下五知集落入り口（五知駅前）を起点とし、東方向に進んで山頂を目指します。主に磯部町五知の住民が利用するルートで、他の地域の住民が利用することは少ないようです。自動車は利用できません。丁石は設置されていません。

参考文献

磯部町史編纂委員会 編『磯部町史 上巻』磯部町、平成9年9月1日
河合正虎（1967）"日本列島の生い立ちを探る④-2"地質ニュース（地質調査所）
鳥羽市史編さん室 編『鳥羽市史 上巻』鳥羽市役所、平成3年3月25日
鳥羽市史編さん室 編『鳥羽市史 下巻』鳥羽市役所、平成3年3月25日
細井啓司（1996）"『ホトトギス』と嶋田青峰"俳句文学館紀要（社団法人俳人協会）
三重県教育委員会 編『伊勢街道 朝熊岳道・二見道・磯部道・青峰道・鳥羽道 ―歴史の道調査報告書―』三重県教育委員会、1986年3月31日
青峰山正福寺（チェック三重ホームページ）

関連項目

伊勢志摩国立公園
航路
航路標識
ハイキング
日和山 (鳥羽市) - 青峰山同様、航行の目標とされた山
正福寺 (鳥羽市)

外部リンク

青峰山 - 伊勢志摩きらり千選（財団法人伊勢志摩国立公園協会）

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