非カルケドン派正教会

非カルケドン派正教会の概要

非カルケドン派正教会（ひカルケドンはせいきょうかい）は、カルケドン公会議による決定に異議を唱えた結果として生まれたキリスト教の諸教会を指します。この教会群には、主にアルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会などが含まれ、特に中東地域に広く存在しています。非カルケドン派正教会は、しばしば「オリエンタル・オーソドックス」とも呼ばれ、他にも「古東方教会」や「非カルケドン派教会」といった名称で認識されています。

現代日本においては、便宜的に「東方諸教会」とか「東方正統教会」とも呼ばれることがありますが、この名称には注意が必要です。特に「東方諸教会」なる表現には、非カルケドン派だけでなく、エフェソス公会議以前に分かれたネストリウス派も含まれる場合があるため、混同することがないようにしましょう。

教義と伝統

この教会群は、通常、合性論的な立場に立ち、単性論を否定しています。カルケドン派の諸教会からは、「単性論教会」として位置付けられることもありますが、非カルケドン派はこの称号を自らのものとはせず、またその使用には侮蔑的なニュアンスが含まれているとも考えています。

非カルケドン派正教会とカルケドン派正教会の間には、祭服や典礼様式において多くの共通点があります。両教会は同じ東方教会の一部として、カルケドン公会議以前の伝統を受け継ぎ、尊重し続けています。しかし、近世に入るとカトリック教会の影響が強まり、一部の非カルケドン派正教会はその儀式を保持しながらもカトリックの教義を取り入れ、東方典礼カトリック教会としての道を歩むようになりました。

非カルケドン派正教会の種類

非カルケドン派正教会には、以下のような教会が存在します：

• - アルメニア使徒教会：世界で初めて国教とされたキリスト教会。
• - コプト正教会：アレクサンドリア教会の流れを汲む古代の教会。
• - エチオピア正教会：コプト正教会から分かれて成立した、全東方諸教会の中で最大の規模を誇ります。
• - エリトリア正教会：エチオピア正教会から独立した教会。
• - シリア正教会：古代のアンティオキア教会に起源を持つ。
• - インドにおける非カルケドン派：シリア正教会の傘下に入るまでの歴史を持ち、総じてインド正教会と称されます。これにはヤコブ派シリア・キリスト教会やマランカラ・シリア正教会といった教会も含まれます。

現代の関係性

今日においても、非カルケドン派正教会とカルケドン派正教会の間での対話と関係深化が進められています。特に、非カルケドン派の間では、教義の違いを超えた関係を築いていく努力が続けられており、これは東西教会間の対話よりも比較的スムーズに進展しています。非カルケドン派正教会はその独自の教義と伝統を守りながらも、他のキリスト教教派との対話を大切にしているのです。

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