カルケドン派

カルケドン派について

カルケドン派（Chalcedonian Christianity）は、451年に開催されたカルケドン公会議で採択されたカルケドン信条を中心に形成されたキリスト教の教派です。この信条は、イエス・キリストが神性と人性の両方を兼ね備えるとする「両性説」を根底に持っています。現代においては、カトリック教会、東方正教会、聖公会、さらには多くのプロテスタント諸派が、このカルケドン派の伝統を受け継いでいます。

歴史

カルケドン公会議では、教義に関しての対立があり、これがキリスト教会内での分裂を引き起こしました。カルケドン信条を受け入れなかった教会は「非カルケドン派」と呼ばれ、ネストリウス派のアッシリア東方教会などとともに、広く「東方諸教会」として知られています。一方で、ローマ教皇やコンスタンティノープル総主教を中心に、アレクサンドリア、アンティオキア、エルサレムなどの主要な教会はカルケドン派としての連帯を維持し、正統教義の確立を目指しました。

6世紀には、ビザンチン帝国のユスティニアヌス1世が五大総主教制を確立し、キリスト教内における権威の体制を強化しました。現在も、多くのキリスト教教派がこの流れを汲んでいると考えられています。そうした中で、西方教会は宗教改革によってプロテスタントや聖公会よりも独自の流れを生み出しましたが、依然としてカルケドン信条の教義は踏襲されています。

一方、カルケドン派と分かれた教会にはアルメニア使徒教会、コプト[[正教会]]、シリア正教会などがあります。これらの教会は「非カルケドン派正教会」や合性論派とも呼ばれています。また、カルケドン公会議を支持したアルメニア人も存在し、彼らは現地のカルケドン派を批判することもありました。591年、ビザンチン帝国のマウリキウス帝は西アルメニアを統治下に置いた後、現地のカルケドン派を支援し、593年にアルメニア聖職者評議会がカルケドン信条を受け入れました。

教義

カルケドン公会議では、三位一体や位格的結合に関する先行の公会議での教義が再確認されました。また、325年に開催された第1ニカイア公会議や431年のエフェソス公会議で排斥された教義も異端として認定されました。カルケドン派の中心となる教義である両性説は、イエス・キリストが神性と人性を一つの位格において有していると主張します。

これに対し、非カルケドン派の教義は、一つの位格の中に神性と人性が一体となって存在するとする合性論を採用しています。このため、カルケドン派は非カルケドン派を「単性論派」と呼んで軽視しています。

カルケドン公会議以降も、680年の第3コンスタンティノポリス公会議で異端とされた単意論や単勢力論も存在しましたが、現在ではその教義は存在しません。このように、カルケドン派と非カルケドン派の間では、教義上の違いが歴史的な対立を生み出し続けています。

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