頭頸部癌

頭頸部癌とは

頭頸部癌は、頭頸部（とうけいぶ）に存在する様々な臓器に発生する悪性腫瘍の総称です。具体的には、以下の部位に発生する癌が含まれます。

副鼻腔: 上顎洞癌など
口腔: 舌癌、口腔粘膜腫瘍、口腔底癌など
咽頭: 上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌など
喉頭: 喉頭癌
前頸部: 甲状腺癌
唾液腺: 耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍など

これらの癌は、主に耳鼻咽喉科で診断・治療が行われます。ただし、頚部悪性腫瘍の中には悪性リンパ腫も含まれますが、これは血液腫瘍として血液内科で診療されることが一般的です。また、眼神経腫瘍や皮膚腫瘍（悪性黒色腫、有棘細胞癌など）は、それぞれ眼科や皮膚科で診療され、頭頸部癌には含まれません。

頭頸部癌の種類と特徴

頭頸部癌の大部分は扁平上皮癌ですが、甲状腺癌などは例外です。扁平上皮癌は、皮膚や粘膜を覆う扁平上皮細胞から発生する癌で、口腔、咽頭、喉頭などの部位に多く見られます。

頭頸部癌の原因

頭頸部癌の発生には、様々な要因が関与しています。その中でも、喫煙、飲酒、ヒトパピローマウイルス（HPV）感染などが主なリスクファクターとして知られています。

HPV感染と頭頸部癌

近年、HPV感染と頭頸部癌、特に口腔癌や咽頭癌との関連性が注目されています。スウェーデンのマルメ大学で行われた研究では、HPVに感染した人とのオーラルセックスが口腔癌のリスクを高める可能性が示唆されました。この研究では、癌患者の36%がHPVに感染していたのに対し、健康な対照群では1%しか感染していませんでした。

また、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌に発表された研究では、オーラルセックスと咽喉癌との間に相関関係があることが示唆されています。HPVは頸部癌の主要な原因であるため、この相関関係はHPV感染によるものと考えられています。この研究では、生涯に1-5人のパートナーとオーラルセックスを行った人は、全く行わなかった人に比べて約2倍、6人以上のパートナーと行った人は3.5倍咽喉癌のリスクが高いと結論付けられています。

ALKBHタンパク質ファミリーと扁平上皮癌

『Scientific Reports』誌で発表された研究によると、扁平上皮癌においてALKBHタンパク質ファミリーの多くが過剰発現することがわかっています。ALKBHタンパク質ファミリーは、DNAやRNAの修復に関与する酵素であり、その過剰発現が癌の発生や進行にどのように影響するかは今後の研究課題です。

まとめ

頭頸部癌は、発生部位や組織型によって様々な種類があり、原因や治療法も異なります。早期発見・早期治療が重要であり、定期的な検診や、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。

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