頴娃久音

頴娃久音（えい ひさぶえ）

頴娃久音は、安土桃山時代に活躍した武将で、島津氏の家臣であり、頴娃氏の8代目当主です。頴娃氏は、肝付氏の庶流にあたり、肝付兼元の子である兼政が頴娃を名乗ったことから始まります。

生涯

天正11年（1583年）に、頴娃久虎の嫡男として誕生しました。しかし、天正15年（1587年）に、わずか5歳で父・久虎を亡くすという悲劇に見舞われます。実は、父・久虎は、久音が生まれる前に、[[伊集院忠棟]]の子である千寿丸（詳細不明）を養子に迎える約束をしていました。しかし、久音が生まれたことでこの約束を反故にしたため、忠棟はこれを恨み、主君である島津義久に讒訴します。その結果、久虎の死後、頴娃（現在の鹿児島県南九州市）、指宿、山川（現在の鹿児島県指宿市）の三箇所が没収されることになりました。

天正16年（1588年）には、久音に新たな領地として谷山（現在の鹿児島市）のうち30町が与えられ、文禄2年（1593年）には、伊集院のうち西俣（現在の鹿児島市西俣町）の地が与えられました。このことから、領地を失った後も、島津家から一定の庇護を受けていたことが伺えます。

慶長2年（1597年）、久音は慶長の役に従軍し、朝鮮に渡海します。この際、島津義弘から無事に帰国を果たした際には、本領である頴娃を返還する旨の約束を受けていました。しかし、志半ばで慶長3年（1598年）に朝鮮で病死し、16歳という若さで生涯を終えました。

久音の死後、頴娃氏の名跡は、島津義虎の五男である忠富（後に頴娃久秀、更に入来院重高）が継ぐことになりました。

人物像

幼くして父を亡くし、領地を失うなど、不遇な境遇に置かれましたが、武将としての才能を認められ、島津氏の一員として活躍しました。特に、慶長の役では、若くして戦場に赴き、島津家のために尽力しました。その短い生涯ではありましたが、戦国時代の武将として、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

もう一度検索