額田地区

額田地区（ぬかたちく）：岡崎市東部の自然と歴史が息づく場所

額田地区は、愛知県岡崎市の東部、市域の約4割を占める広大な地域です。2006年に岡崎市に編入された旧額田町全域にあたり、豊かな自然と歴史的な背景を持つ、魅力あふれる地区です。人口密度は市内でもっとも低く、手つかずの自然が多く残っています。

地理

額田地区は、美濃三河高原の一部を占める中山間地域であり、その面積の86%が森林という緑豊かな場所です。本宮山と巴山は本宮山県立自然公園に指定され、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。地区内を流れるのは主に矢作川水系の河川で、乙川と男川が主要な河川です。これらの河川は、男川漁業協同組合によって漁業権が管理されています。また、木下町や千万町町など、難読地名が存在することも特徴の一つです。

歴史

室町時代から戦国時代にかけて、額田地区は松平氏（徳川氏）、今川氏、武田氏といった戦国大名によって支配され、奥平氏や額田山内氏などの在地領主が領主を変えながら存続していました。この時代には、日近合戦、雨山合戦、滝山合戦といった戦いが繰り広げられ、日近城をはじめとする多くの山城が築かれました。

江戸時代に入ると、豊臣秀吉や徳川家康による刀狩令や太閤検地によって村落が再編され、幕府領、大名領、旗本領、寺社領など、多様な領主による支配を受けました。明治時代になると、岡崎県、額田県を経て愛知県へと編入され、1889年には52あった村が6つに統合、さらに1906年には4つの村に再編されました。1954年にはこれらの村が合併し、額田町が成立しました。町名は額田郡に由来します。

第二次世界大戦中には、多くの疎開児が額田地区に身を寄せました。地区内には多くの寺院や神社があり、中でも天恩寺の山門・仏殿は国の重要文化財に指定されています。

河川・山岳

地区を流れる主な河川：

乙川
男川

主な山岳・渓谷：

本宮山
巴山
かおれ渓谷
くらがり渓谷

特産品

宮崎茶: 本宮山からの清流と寒暖差の大きい気候が育む、歴史あるお茶。有機栽培に力を入れており、海外にも輸出されています。
ぬかた味噌: 地元産の大豆と米を使用し、昔ながらの製法で作られる、甘みとコクが特徴の味噌。
おかざきかき氷街道: 名水百選に選ばれた鳥川の湧水を使ったかき氷を提供するイベント。地元の果物を使ったかき氷も人気です。

観光

額田地区には、豊かな自然を生かした観光スポットが点在しています。

本宮山: ハイキングや自然観察が楽しめる山。山頂からは、三河湾を一望できます。
くらがり渓谷: 夏は避暑地として賑わう渓谷。川遊びやバーベキューが楽しめます。
かおれ渓谷: 紅葉の名所として知られる渓谷。秋には美しい紅葉が楽しめます。

教育

地区内には、小中学校が設置されています。

中学校：岡崎市立額田中学校
小学校：岡崎市立豊富小学校、岡崎市立夏山小学校、岡崎市立宮崎小学校、岡崎市立形埜小学校、岡崎市立下山小学校

交通

鉄道は地区内を通っていませんが、名鉄名古屋本線本宿駅が最寄りの駅となります。バス路線も充実しており、岡崎市中心部や周辺地域へのアクセスも可能です。

主なバス路線：名鉄バス、額田地域内交通（ささゆりバス、乙川バス、のってこバス、ほたるバス）
高速道路：新東名高速道路 岡崎東IC

額田地区は、豊かな自然、歴史、そして人々の温かさが息づく魅力的な地域です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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