願譜代

願譜代（ねがいふだい）についての詳細

願譜代とは、江戸時代において外様大名が自身の希望により譜代大名として扱われるようになった特別な大名の地位を指します。この制度は、主に譜代大名の血族が外様大名の家系を継承し、幕府において長年にわたる功績を残した場合、または外様大名が幕政に参画しようとする際に、譜代への格上げを望むことで成立しました。漫画の一種とも呼ばれ、譜代格や御譜代に準じる大名とされることもあります。さらに、後世には準譜代大名という呼称が使われることもありますが、これは歴史学的な用語です。

概要

『大辞林』によれば、願譜代に該当する大名家は、「相馬長門・脇坂中務・加藤能登・秋田山城・諏訪伊勢・戸沢大和」の6家が挙げられています。しかし、歴史学者の小和田哲男は藤堂高虎も願譜代に含めるべきだと指摘しており、さらには真田家や堀家も願譜代に分類される資料が存在するとされています。この制度は、該当する大名家が自動的に譜代扱いになるわけではなく、願い出て初めて許可が下りる仕組みです。また、全ての願い出が必ずしも受理されるわけではなく、時には却下されることもありました。そのため、堀家のように願譜代の格上げを拒否された例も存在します。

願譜代に認定されると、江戸城内での地位も上昇し、老中への道が開かれるだけでなく、公的な官位も昇進することが可能になります。これにより、従四位下侍従に昇進することができ、優遇措置を受けることができました。

主な願譜代の家系

願譜代に分類される主な大名家は以下の通りです。

• - 相馬氏：陸奥中村藩6万石の城主
• - 脇坂氏：播磨龍野藩5万1千石の城主
• - 加藤氏：近江水口藩2万5千石の城主
• - 秋田氏：陸奥三春藩5万石の城主
• - 諏訪氏：信濃諏訪藩（高島藩）3万石の城主
• - 戸沢氏：出羽新庄藩6万8千石余の城主

これらの6家は、主に『大辞林』によって確認されているものです。加えて、以下の家系も願譜代に含まれる場合があります。

• - 藤堂氏：伊勢津藩32万3千石余の国主
• - 真田氏：信濃松代藩10万石の城主

ほかにも、以下の家系が含まれることもあります：

• - 仙石氏：信濃小諸藩5万石、上田藩6万石、但馬出石藩5万8000石の城主
• - 有馬氏：越前丸岡藩5万石の城主
• - 遠藤氏：近江三上藩1万石の陣屋、大名となる
• - 京極氏：丹後峰山藩1万1千石余の陣屋
• - 堀氏（堀直之家）：越後椎谷藩1万石の陣屋
• - 遠山氏：美濃苗木藩1万500石の城主
• - 片桐氏：大和小泉藩1万1千石の陣屋
• - 池田氏：備前岡山藩31万5千石と因幡鳥取藩32万石の城主
• - 山口氏：常陸牛久藩1万石の陣屋
• - 小堀氏：近江小室藩1万630石の陣屋
• - 大村氏：肥前大村藩2万7千900石の城主

これらの大名の家系は、江戸時代の幕府の構成において重要な役割を果たしました。願譜代は、単なる名誉の称号ではなく、実際の権力や影響力にも結びついていたため、歴史的にみても重要な位置を占めています。

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