風車の弥七

風車の弥七：『水戸黄門』を彩る名物忍者の詳細解説

風車の弥七は、時代劇『水戸黄門』に登場する架空の忍者であり、佐々木助三郎や渥美格之進と並ぶ人気キャラクターです。特定のモデルは存在せず、松之草村小八兵衛がモデルであるという俗説は誤りです。

歴代演者

初代：中谷一郎（第1部 - 第27部、1000回記念スペシャル）
2代目：内藤剛志（第37部 - 第43部、最終回スペシャル）
* 3代目：津田寛治（BS-TBS版）

設定・人物像

弥七は元義賊の伊賀忍者で、普段は渡世人風の姿で諸国を旅しています。赤い風車を仕込んだ手裏剣を武器とし、忍術、特に隠密行動や火薬の扱いに長けています。正義感が強く、弱い者いじめや不正を許さない性格です。

普段は水戸光圀一行とは別行動を取り、町中で情報を集めたり、困っている人を助けたりしています。光圀一行が危機に陥ると、風車手裏剣を投げて颯爽と現れ、事件解決後には再び姿を消します。

初期の頃は「風車」と呼ばれていましたが、次第に「弥七」と呼ばれるようになります。伊賀・名張の出身で、過去に忍者の里を抜け義賊となった経緯を持ち、光圀に命を救われたことから隠密として仕えるようになりました。

戦闘スタイル

忍者の特性を活かした戦い方を得意とし、風車手裏剣は武器としてだけでなく、仲間の目印や鍵開けなどにも使用されます。諜報活動や伝令もこなし、霞玉で敵を欺いたり、風車手裏剣に手紙を結び矢文の代わりにしたりもします。素早い身のこなしで戦い、匕首も使用しますが、基本的には素手で戦います。初期には悪人を殺害することも少なくありませんでしたが、シリーズ中期以降は殺生を避ける傾向にあります。

各シリーズにおける活動

各シリーズにおいて、弥七の登場回数や設定には変遷が見られます。中谷一郎が演じた時代には、派手なアクションや宙返りなどの演出が多く、光圀一行と共に旅立つことがほとんどでした。しかし、内藤剛志が演じた2代目弥七は、より隠密としての性格が強調され、単独行動が多くなりました。

中谷一郎時代

初期は宙返りや派手なアクションで登場し、光圀一行の危機を救っていました。うっかり八兵衛からは「親分」と呼ばれ慕われています。第3部では、過去の因縁や恋人との関係が描かれました。シリーズが進むにつれて、登場しない回も増えましたが、要所では活躍を見せていました。

内藤剛志時代

隠密としての役割が強調され、光圀一行との馴れ合いも少なくなりました。八兵衛とは面識があるものの、顔を合わせることはありませんでした。最終回スペシャルでは、飛猿との親交が描かれました。

BS-TBS版

津田寛治が演じた弥七は、内藤版弥七に準じたキャラクターとして描かれました。

モデルに関する俗説

石川桃蹊の『桃蹊雑話』に登場する松之草村小八兵衛が弥七のモデルであるという説がありますが、公式な見解ではありません。小八兵衛は盗賊の頭であったものの、光圀に忠誠を誓い領内の治安を守ったとされています。小八兵衛の墓は、観光地として整備されています。

風車の弥七は、『水戸黄門』シリーズに欠かせない魅力的なキャラクターであり、その活躍は多くの人々に愛されています。

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