飯島勲

飯島勲：政界の裏舞台を支えたフィクサー

飯島勲は、1945年長野県に生まれ、議員秘書、国家公務員として日本の政治に深く関わってきました。特に、小泉純一郎内閣では内閣総理大臣秘書官（政務担当）として、その手腕を振るい、メディア戦略や情報操作に長けた人物として知られています。

生い立ちと学歴

飯島勲は長野県上伊那郡辰野町で生まれました。実家は江戸時代に庄屋を務めた名門でしたが、飯島の幼少期は経済的に恵まれていませんでした。父親は工場のトラック運転手で、家は粗末なものでした。飯島自身も、電報配達や納豆売りをして家計を助けていたそうです。

辰野中学校から箕輪工業高等学校定時制に進学し、昼間は旋盤工として働きました。その後、東京電機大学高等学校定時制を経て、東京電機大学短期大学電気科第二部を卒業。法律特許事務所で職員として働きました。

小泉純一郎との出会い

1972年、飯島は知人の紹介で小泉純一郎の秘書となります。面接では、自らの苦労や家族のことを語りましたが、政治家の家庭に育った小泉には理解されないだろうと考えていたそうです。しかし、小泉は黙って話を聞き、「よし」の一言で採用を決定しました。この時、飯島は「この人のために生涯頑張りぬこう」と決意したといいます。

総理大臣秘書官としての活躍

飯島は、竹下改造内閣、宇野内閣、宮沢改造内閣、第2次橋本内閣で厚生大臣秘書官や郵政大臣秘書官を歴任し、小泉内閣発足と共に内閣総理大臣秘書官（政務担当）に就任しました。そのメディア戦略や情報操作の手腕は、日本のメディアから「官邸のラスプーチン」、アメリカのメディアから「日本のカール・ローヴ」と評されるほどでした。

飯島は、首相官邸に各省庁連絡室を置き、各省庁からキャリア官僚を常駐させ、事務担当の首相秘書官と連携させることで、官邸の情報収集能力を高めました。また、各省庁間の緊張関係を維持することで、個々の省庁の情報が官邸に入りやすくし、首相官邸の政治的影響力を増大させました。この首相官邸の事務組織は、「飯島機関」と呼ばれました。

小泉との決別とその後

小泉が首相を退任した後、飯島は小泉の議員秘書に戻りますが、2007年の自民党総裁選で、小泉の再登板を画策したものの、小泉が再登板を否定し福田康夫を支持したため、飯島は小泉事務所を辞任しました。

飯島と福田の対立は、小泉が靖国神社参拝を巡って福田に説得されたことがきっかけとされています。この出来事を機に、飯島は安倍晋三との関係を深めました。

北朝鮮との独自のルート

飯島は、北朝鮮との独自のパイプを持っており、2013年には安倍政権の要人として初めて平壌を訪問しました。この訪朝は、拉致問題解決に向けた動きとして注目されましたが、国際社会からは抜け駆けと見なされる可能性も指摘されました。飯島は、北朝鮮の金永日朝鮮労働党書記や金永南最高人民会議常任委員長と会談し、北朝鮮メディアは表敬訪問と報じましたが、会談内容は明らかにされませんでした。

その他の活動

飯島は、2012年に第2次安倍内閣で内閣官房参与に就任し、危機管理や広報、メディア戦略に関する助言を行いました。また、フランスとの関係が深く、日仏親善に貢献したとして、レジオンドヌール勲章オフィシエと農事功労章シュバリエを受章しています。

さらに、日本ソムリエ協会を設立するなど、日本におけるワインをはじめとするフランス料理の普及に尽力しました。

人物像

飯島は、ヘビースモーカーで、ゴールデンバットを愛飲していましたが、2016年にフィルター付きに変更されたことに反発し、ショートピースに切り替えたそうです。身長167cm、体重100kg近い巨漢としても知られています。

また、孫娘がももいろクローバーZのファンであり、飯島自身もももクロの番組に出演したことがあります。これをきっかけに、メンバーの百田夏菜子とは家族ぐるみでの親交を持つようになったそうです。

著書

飯島は、数多くの著書を執筆しており、その多くが政治や外交に関するものです。

『永田町の掟　「欲望渦巻く町」の超ぶっとび事情』
『代議士秘書　笑っちゃうけどホントの話』
『小泉官邸秘録』
『実録小泉外交』
『小泉元総理秘書官が明かす人生「裏ワザ」手帖』
『秘密ノート = The Spy Notes : 交渉、スキャンダル消し、橋下対策』
『リーダーの掟 = rules for leaders : プーチン絶賛の仕事術』
『政治の急所』
『ひみつの教養誰も教えてくれない仕事の基本』
『孫子の兵法 : ヒト・モノ・カネを自在に操る』
『権力の秘密』
『ドン ―最強の敵か、最良の友か』

飯島勲の功績

飯島勲は、その卓越した政治手腕と情報収集能力で、日本の政治に大きな影響を与えました。特に、小泉内閣では、メディア戦略や情報操作を通じて政権を支え、その後の政治に大きな影響を与えました。また、北朝鮮との独自の外交ルートを持つなど、その活動は多岐にわたります。飯島勲は、まさに政界の裏舞台を支えたフィクサーと言えるでしょう。

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