馬場利重

馬場利重（ばば とししげ）

馬場利重は、江戸幕府の旗本であり、長崎奉行を務めた武士です。通称は三郎左衛門。釜戸馬場氏の二代目にあたります。

生涯

馬場利重は、馬場昌次の子として生まれ、母は千村良重の娘です。慶長5年（1600年）の上杉征伐の際、小山で徳川家康に仕え、父と共に東濃の戦いで武功を挙げました。その後、徳川秀忠に仕え、御書院番を務めました。

寛永8年（1631年）には御使番となり、翌年には御目付に転じ、布衣の着用を許されました。寛永10年（1633年）には、堀尾忠晴の死去に伴い、出雲国と隠岐国へ赴任しました。寛永12年（1635年）には、甲斐国巨摩郡で1000石を加増され、合計2600石を知行しました。

寛永13年（1636年）には長崎代官となり、制法の沙汰を務めました。寛永14年（1637年）に島原の乱が勃発すると、長崎に赴き、板倉重昌に属して原城攻めに加わりました。寛永15年（1638年）には細川忠利の軍監を務め、原城落城後は長崎に戻りました。

同年11月10日、大河内正勝と共に長崎奉行に任命され、一年交代で長崎に赴任することになりました。慶安5年（1652年）に長崎奉行を辞任しました。明暦3年（1657年）に死去し、牛込の松源寺に葬られました。また、釜戸馬場氏の菩提寺である天猷寺にも墓があります。

槍にまつわる伝説

釜戸馬場氏の菩提寺である天猷寺（岐阜県瑞浪市釜戸町）には、利重が島原の乱で多くのキリシタンを手にかけた際に使用したと伝わる槍（呪いの地槍）が所蔵されています。この槍は、蔵から出すと不幸が起きるとされ、長らく蔵の奥に仕舞われたままになっています。

長崎奉行としての活動

長崎奉行として、利重はオランダとの外交にも関わりました。オランダ東インド総督のアントニオ・ファン・ディーメンが、長崎奉行を介さずに幕府年寄衆にオランダ人の処遇改善を求める訴状を送った際、当時のオランダ商館長ヤン・ファン・エルセラックとの間に緊張関係が生じました。しかし、最終的には訴状の提出を保留することで決着しました。

まとめ

馬場利重は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、長崎奉行としてその手腕を発揮しました。彼の生涯は、武士としての功績だけでなく、外交官としての側面も持ち合わせており、激動の時代を生き抜いた人物として歴史に名を残しています。

脚注

大分県総務部総務課 編『大分県史』《近世篇IV》大分県、1990年3月31日。
「巻第百十六 清和源氏 為義流 馬場」『寛政重脩諸家譜』 第一輯、國民圖書、1922年12月18日。
『寛政重修諸家譜 第2 新訂』　卷第百十六　木曾・馬場　二篇　p392～p398　堀田正敦　続群類従完成会　1964年
木村直樹「長崎奉行の歴史」角川書店 2016年

外部リンク

* デジタル版 日本人名大辞典+Plus『馬場利重』 - コトバンク

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