千村良重

千村良重（ちむら よししげ）

千村良重は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。木曾氏の重臣であった千村家政の次男として生まれました。兄の政勝が戦死したため、家督を継ぎました。

木曾氏の家臣から浪人へ

良重は、当初は木曾氏に仕え、下総国への移封にも従いました。しかし、木曾義利の不行跡により木曾氏が改易されると、浪人となり佐倉で暮らすことになります。

関ヶ原の戦いでの活躍

慶長5年（1600年）、関ヶ原の戦いでは徳川家康に召し出され、東軍に加わります。かつての同僚であった山村良勝と共に、中山道を進軍する先導役を務めました。各地の元木曾家臣に協力を呼びかけ、木曽谷の奪還に成功し、美濃国の苗木城や岩村城を攻め落とすなど、数々の武功を挙げました（東濃の戦い）。

旗本、そして交代寄合へ

これらの功績により、良重は4,600石の旗本（交代寄合）となります。美濃国内の恵那郡、土岐郡、可児郡に知行地を与えられ、信濃伊那郡の天領も預かることとなりました。美濃国可児郡久々利村に陣屋を構え、名古屋や江戸にも屋敷を与えられました。また、天竜川流域の榑木奉行も務めました。

大坂の陣での活躍

大坂の陣では、冬の陣で妻籠の関所や信濃飯田城の守備を担当し、夏の陣では天王寺口の戦いに参戦しました。

尾張藩と江戸幕府の両属へ

大坂の陣後、徳川家康は千村良重を尾張藩に加封することを決定します。しかし、良重は信濃や遠江にも所領を有していたため、尾張藩の専属となることをためらいました。最終的には、幕府直臣として信州伊那郡の天領預地支配と遠州船明山榑木奉行のまま、尾張藩の付属となることが決定しました。

その後の千村家

千村良重は、信濃の所領は従来通りとし、遠州奥の山を返上する代わりに船明村の榑木改役を希望し、許可されました。これにより、千村家は尾張藩に属しながらも幕府の役職を兼ねる、両属的な立場となりました。寛永7年（1630年）、65歳で死去し、家督は子の重長が継ぎました。

知行所

千村良重の知行所は、美濃国恵那郡、土岐郡、可児郡にまたがっており、以下の通りでした。

美濃国恵那郡：落合村、駒場村、千旦林村、本郷、辻原、茄子川村、正家村
美濃国土岐郡：日吉村、深沢、田髙戸、志月、大湫村、寺河戸村、一日市場
美濃国可児郡：御嵩上之郷、小和沢、宿、中切、綱木、久々利村、比衣村、大森村、伊岐津志村

また、幕府の預地として、信濃国伊那郡の以下の村々を支配しました。

小野村、中坪村、野口村、八手村、大河原村、鹿塩村、清内路村、加々須村、南山村、小川村、上穂村

関連寺院

良重が開基した福昌寺（中津川市）や、千村家の菩提寺である東禅寺（可児市）などがあります。

まとめ

千村良重は、戦国時代から江戸時代初期にかけて激動の時代を生き抜いた武将です。木曾氏の家臣から徳川家康の旗本となり、関ヶ原の戦いや大坂の陣で武功を挙げました。尾張藩と江戸幕府の両方に仕えるという特異な立場を築き、その生涯は多くの歴史研究者に興味を持たれています。

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