高岡直吉

高岡直吉：地方行政と都市発展に尽力した官僚・政治家

高岡直吉は、安政7年（1860年）に石見国で生まれ、内務省官僚、政治家として活躍しました。津和野藩出身で、北海道帝国大学総長を務めた高岡熊雄を実弟に持ちます。

若き日の学びと北海道との関わり

藩校養老館で学んだ後、東京英語学校、札幌農学校に進学。1882年に山口県御用掛として官界入りし、山口県立農学校の初代校長に就任しました。その後、北海道に渡り、増毛外五郡長、宗谷外三郡長、根室外九郡長を歴任。根室郡長時代には、千島列島の行政調査を行い、占守島にも足を運びました。これらの経験から、北海道開拓の重要性を認識し、その後の活動の基盤を築きました。

地方行政官としての活躍

1895年に本庁に戻り、参事官、殖民課長、小樽支庁長、内務部地方課長を歴任。1900年には千島アイヌの調査のため色丹島に渡りました。1902年にはアメリカとオーストラリアに渡り、土地制度と殖民事業を調査。これらの経験を活かし、1908年には宮崎県知事に就任しました。その後、1911年には島根県知事に就任。島根県初の島根県出身知事として、製紙、陶器、八雲塗などの産業振興に貢献しました。さらに、鹿児島県知事も務め、桜島噴火災害からの復興に尽力しました。

初代札幌市長としての功績

門司市長を経て、1923年に初代札幌市長に就任。札幌市では、市営電車事業の実現に尽力し、助川貞二郎との交渉を成功させました。また、下水道整備をはじめとする都市インフラの整備にも力を注ぎ、札幌の都市基盤を築きました。これらの功績から、高岡直吉は札幌の発展に大きく貢献した人物として、今もなお称えられています。

その他の活動と晩年

高岡直吉は、北海道の発展だけでなく、地方行政の改善や産業振興にも貢献しました。1942年9月1日に東京で逝去。享年83歳。墓碑には「従三位勲二等 高岡直吉之命」と刻まれています。

年譜

1860年1月：島根県鹿足郡津和野町に生まれる
1875年：上京、東京英語学校入学
1908年：宮崎県知事就任
1911年：島根県知事就任
1918年：門司市長就任、錦鶏間祗候仰付
1923年2月：初代札幌市長就任
1927年12月：札幌市長を退任
1942年9月1日：東京にて死去

栄典

1910年：勲三等瑞宝章
1912年：従四位
1915年：大礼記念章
1917年：勲二等瑞宝章
1940年：紀元二千六百年祝典記念章

著書

『北千島調査報文』（北海道参事官復命書）,1975年

親族

父：高岡道敬（津和野藩士）
妻：高岡梅
長男：高岡弘道
長男の妻：高岡操
孫：高岡直道
二男：高岡正道
二男の妻：高岡聡
弟：高岡熊雄
* 甥：高岡周夫

墓所

多磨霊園（21区1種5側）

その他

津和野駅周辺の町道は、「高岡通り」と名付けられています。

高岡直吉は、地方行政、都市計画、そして北海道の発展に大きく貢献した人物として、その名は後世に語り継がれています。

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