高木永二

高木永二：時代劇から現代劇まで縦横無尽に活躍した俳優の生涯

高木永二（1896年12月28日 - 1943年12月14日）は、日本の映画黄金期を彩った実力派俳優である。兵庫県神戸市出身の高木は、旧制荏原中学校、早稲田大学予科を経て、1916年に単身アメリカへ留学。1918年に帰国後、神戸のホテル勤務を経て、1921年に松竹蒲田撮影所に入社し、俳優としてのキャリアをスタートさせた。

松竹蒲田撮影所ではサイレント映画を中心に活動した後、1924年には日活京都撮影所第二部に移籍。溝口健二監督作品への出演が大きな転機となり、助演ながら主演級の活躍を見せる。代表作の一つである溝口健二監督の『大地は微笑む』では主演を務め、高い評価を得た。同時期には、木藤茂監督の『稲妻』では原作も担当するなど、多才ぶりを発揮している。

1928年には、女優の秩父かほると結婚。長男である高木英文は後にピアニスト、作曲家として活躍し、孫は元松竹女優の野咲めぐみである。私生活でも充実した時間を送っていたことがうかがえる。

その後、日活太秦撮影所を経て、富国映画へ移籍。同社が解散した後は日活太秦撮影所に復帰し、時代劇俳優として活動の場を広げる。片岡千恵蔵主演の『刺青奇偶』、山中貞雄監督の『盤嶽の一生』など、数々の名作に出演し、その存在感を示した。

1934年には、日活多摩川撮影所に異動。現代劇にも積極的に出演し、幅広い演技力を見せつけた。1942年の『将軍と参謀と兵』（戦後改訂新版『戦争と将軍』）を最後に、映画出演記録は途絶える。

多くの資料では消息不明とされているが、実際には大映へ入社していたことが判明している。しかしながら、大映では作品に出演することなく、1943年12月14日、動脈硬化症のため、東京府北多摩郡調布町（現在の東京都調布市）の自宅で死去した。46歳没（数え年48歳）。

高木永二は、サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代を駆け抜けた俳優だった。松竹蒲田、日活京都、太秦、多摩川と様々な撮影所で経験を積み、時代劇、現代劇を問わず、数多くの作品に出演。その演技力は高く評価され、今日でも多くのファンに愛されている。彼の残した作品群は、日本の映画史に燦然と輝く、貴重な遺産と言えるだろう。

参考文献

『日本映画俳優全集・男優編』、キネマ旬報社、1979年10月23日
『芸能人物事典 明治大正昭和』、日外アソシエーツ、1998年11月 ISBN 4816915133

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