高森勇旗

高森勇旗

富山県高岡市出身の元プロ野球選手。現役時代は主に内野手としてプレーしましたが、プロ入り前は捕手でした。引退後はスポーツライター、タレント、野球解説者として幅広く活躍しており、さらに株式会社HERO MAKERS.の代表取締役社長も務めています。

プロ入り前の歩み

小学三年生の頃、父と兄の影響で野球を始めました。当初はあまり乗り気ではなかったものの、そのまま野球を続けます。中学時代は高岡シニアに所属し、硬式野球に取り組みました。中京高校へ進学すると、一年生の夏から正捕手の座を掴み、高校通算で30本塁打を記録するなど打力を見せました。しかし、在学中に甲子園大会へ出場する機会はありませんでした。高校の同期には、後にプロ野球選手となる池ノ内亮介投手や大抜亮祐選手がいます。

高校卒業を控え、2006年の高校生ドラフト会議にて、横浜ベイスターズから4巡目で指名を受けました。同年10月14日に球団との契約を交わし、プロへの道を歩み始めます。

プロ野球選手時代（横浜/DeNAベイスターズ）

プロ入り後の2007年シーズンは、主に二軍での出場となりました。高卒新人として体力面や技術面の成長が求められ、25試合に出場しましたが、打率は.095に留まり、プロのレベルへの適応に時間を要しました。

転機が訪れたのは2008年です。この年の二軍開幕戦で、指名打者として途中出場し二塁打を放つと、その後は捕手登録ながら一塁手の守備に就くなど、内野手としての起用が増加しました。この年以降、捕手としての公式戦出場はなく、事実上のコンバートとなります。同年8月に行われたフレッシュオールスターゲームには、イースタン・リーグ選抜として出場しました。

2008年シーズンは、二軍で89試合に出場し、打率.274、チーム3位となる9本塁打を記録するなど、打撃面で大きな成長を見せました。しかし、一塁守備では13失策を喫するなど、新たな課題も浮き彫りとなりました。特に印象的なのは、8月29日の千葉ロッテマリーンズ戦での出来事です。この試合で、第2打席にホームラン、第4打席にシングルヒット、第5打席にスリーベース、第6打席にツーベースを放ち、イースタン・リーグ史上5人目、そして最年少でのサイクルヒットを達成しました。この日は6打数4安打5打点と大活躍を見せ、全ての安打で打点を記録するという離れ業を演じました。

続く2009年シーズンは、二軍でキャリア最高の成績を残します。打率.309、15本塁打、長打率.501、出塁率.376という、いずれもチームトップクラスかつリーグ上位に名を連ねる好成績をマークしました。特に112安打を放ち、イースタン・リーグ最多安打のタイトルを獲得しました。これらの活躍が認められ、同年10月3日には中日ドラゴンズ戦でプロ初出場を果たし、翌日の広島東洋カープ戦ではプロ初安打を記録しました。

しかし、2010年以降は成績が伸び悩みます。2010年は二軍で打率.246、6本塁打に終わり、シーズン後半は打撃不振に陥り、一軍昇格は叶いませんでした。2011年も同様に一軍登録はなく、二軍でも打率.214と結果を残すことができませんでした。また、この時期に同じ左打者の筒香嘉智選手が入団した影響もあり、二軍での出場機会も減少しました。出場機会の減少について、本人はモチベーションを保つのが難しくなったと後に語っています。

2012年シーズンを迎えるにあたり、登録名を本名の「高森 勇気」から「高森 勇旗」に変更しました。二軍では4番打者を任される試合もありましたが、最後まで一軍に昇格することはできず、同年10月2日に球団から戦力外通告を受け、プロ野球生活に区切りをつけました。

イースタン・リーグでは通算470試合に出場し、353安打、40本塁打、169打点、打率.260という成績を残しました。

第二のキャリアへ

DeNA退団後、2013年からは社会人野球のエスプライド鉄腕硬式野球部に捕手として加入し、現役を続けましたが、現在は退団しています。その一方、野球界で培った経験と知識を活かし、データアナリストやスポーツライターとしての活動を開始しました。野球に関する深い知見や、選手ならではの視点からの記事を執筆しています。

さらに、2021年からは横浜DeNAベイスターズOBとして、TBSチャンネルの野球解説者としても活躍の場を広げています。冷静な分析と分かりやすい解説で好評を博しています。また、株式会社HERO MAKERS.の代表取締役社長も務めるなど、ビジネスの分野でも手腕を発揮しています。

人物像とエピソード

少年時代は野球よりも学問への関心が強く、将来は考古学者になることを夢見ていた時期もあったそうです。多才な一面として、野球選手の物真似が得意なことでも知られています。チームメイトや他の選手の形態模写を披露し、周囲を楽しませることが多く、木塚敦志投手、鈴木尚典選手らの物真似は特に有名で、ファンフェスタなどでも披露し観客を沸かせました。自主トレを共にした石井琢朗氏のブログでも紹介されたことがあります。

野球への取り組みは非常に研究熱心でした。自身の打席の様子を全て動画で記録し、フォームを分析したり、相手投手や球種、自身の打席の感想などを細かくノートに綴ったりしていました。これらの分析結果を杉村繁コーチに見せ、アドバイスを求めた際には、その研究ぶりにコーチも驚いたといいます。

尊敬する選手として、チームの先輩である鈴木尚典氏を挙げています。鈴木氏が現役時代に背負っていた背番号51番を引き継ぐことを目標にしていた時期もありました。また、同期入団の梶谷隆幸選手とは非常に仲が良く、自身が戦力外通告を受けた際には、「俺の分も頑張ってくれ」とエールを送ったというエピソードも残っています。

プロ野球選手としてのキャリアは短命に終わりましたが、そこで培った経験や学びを活かし、多方面で活躍を続けている人物です。

主な記録と背番号

初出場: 2009年10月3日、対中日ドラゴンズ戦（横浜スタジアム）、5回裏に三浦大輔の代打で出場
初打席: 同上、5回裏に対吉見一起から中飛
初先発出場: 2009年10月4日、対広島東洋カープ戦（横浜スタジアム）、6番・一塁手で先発出場
初安打: 同上、1回裏に対青木高広から右前安打
背番号: 62 （2007年 - 2012年）
登録名:
高森 勇気（2007年 - 2011年）
高森 勇旗（2012年）

著書

『俺たちの戦力外通告』（2017年）

関連項目

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横浜DeNAベイスターズの選手一覧
ハンカチ世代

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