高滝 (市原市)

千葉県市原市高滝の詳細解説

地理

高滝は、千葉県市原市の加茂地区に位置する大字です。郵便番号は290-0555。

特徴的なのは、その複雑な地形です。元々飛び地が多かったことに加え、養老川を堰き止めて作られた高滝湖（高滝ダム）の影響で、入り組んだ形状をしています。中心集落は高滝湖に突き出た半島状の地形にあり、高滝公民館や高瀧神社が置かれています。高滝湖の東側にも地域が広がっており、加茂橋で繋がっています。大字高滝の「本体」は、北は大和田、東は山小川、南は不入、西は養老と隣接しており、大和田の飛び地を内包しています。

飛び地

高滝には複数の飛び地が存在します。「本体」の北側には、養老・不入・大和田と入り混じるように点在しています。高滝ダム堤体の一部や、首都圏中央連絡自動車道高滝湖パーキングエリアの西北側も飛び地です。また、「本体」の南西にも離れた飛び地があり、山口、本郷、平野、万田野、木更津市真里谷と接しています。

地名の由来と歴史

広域地名としての「高滝」

江戸時代には、「高滝」は養老川上流域を指す広域地名として使われていました。「高滝谷」や「高滝領」、「高滝荘」といった地域名称も存在しました。江戸時代前期には、板倉重宣が「高滝」を居所とし、その藩は「高滝藩」と呼ばれましたが、陣屋は大和田村に置かれたとされています。

古代・中世の用例

『日本三代実録』によると、貞観10年（869年）に上総国の「高滝神」に神階が与えられました。平安時代末期には、加茂社が勧請され、当時の下地村は「加茂村」と改名されました。これが現在の高瀧神社の起源です。

「高滝郷」という郷名は鎌倉時代に登場します。『沙石集』に「上総国高滝トイフ所ノ地頭」が登場する説話が残っています。中世には、上総国佐是郡の一部とされていました。室町時代には、仏像の銘として「上総国加茂高滝郷」や「佐是郡高滝社下村」といった地名が記されています。

広域地名「高滝」の範囲

大正期に編纂された『千葉県市原郡誌』によれば、市原郡の飯給、大戸、万田野、平野、本郷、不入、高滝、大和田、養老の9か村を総称して「高滝郷」と呼び、「高滝谷」よりも広い範囲を指す地域名称として「養老谷」が用いられていました。

歴史

前近代

現在の大字「高滝」は、1874年（明治7年）に宮原村と加茂村が合併して成立した「高滝村」がもとになっています。

加茂村

加茂村という地名は、加茂社の勧請に由来します。江戸時代には「賀茂（加茂）大神宮」と呼ばれ、その周辺が加茂村と呼ばれていました。この神社は徳川幕府から社領を与えられ、近隣53か村を氏子とする大きな神社でした。祭礼では、御輿が養老川岸まで渡御し、多くの参詣客を集めていました。現在の社殿は享保12年（1727年）に建てられたものです。

加茂村は、旗本水野家の知行地であり、加茂社の社領も存在しました。村には、領主に年貢を納める「村百姓」、神社に年貢を納める「宮百姓」、そして隣村の本郷村から加茂村に居住する「本郷百姓」がいました。元文年間には、加茂・不入・大和田村の入会地であった柏野原の開発が試みられましたが、3か村の反対により実現しませんでした。江戸時代後期には藍の栽培が盛んでした。

宮原村

宮原という地名は、加茂社に近い原野という意味だと推測されています。『千葉県市原郡誌』によれば、承安元年（1171年）に宮原村と称したとされています。根本、奈良輪、宮原の三家が草分けとされ、江戸時代には交代で名主を務めていました。宮原五郎左衛門家は、天正年間に里見義頼から開発地の諸役を免除され、江戸時代を通じてその権利が認められていました。元禄期以降は、旗本近藤家と大岡越前守家（のち西大平藩）の相給となりました。

近代

明治元年（1868年）には宮谷県、その後鶴舞藩領となり、廃藩置県を経て、1873年（明治6年）に千葉県に属しました。1874年（明治7年）に宮原村と加茂村が合併し、高滝村が発足しました。

加茂村、大和田村、本郷村、小谷田村にまたがる土地は、土質が「砂灰」のようであり、降雨不足の際には植物が枯れてしまうことが悩みでした。1876年（明治9年）には、宮原庄治らによって高滝溝渠と呼ばれる水路が起工されました。この水路は全長約7.5kmに及び、難工事の末、1882年（明治15年）に完成し、約22町歩の灌漑が可能になりました。旧領主の大岡家も資金援助を行いました。

1879年（明治12年）には、高滝・養老連合戸長役場が設置され、その後県社「高瀧神社」と改称されました。1884年（明治17年）には、高滝、養老、本郷、大和田、久保の連合戸長役場が高滝に置かれました。

1889年（明治22年）の町村制施行により、高滝村、養老村、本郷村、大和田村、久保村、外部田村、駒込村、山口村、不入村が合併し、行政村として高滝村が編成されました。旧高滝村は、新たな高滝村の大字「高滝」となりました。1925年（大正14年）には、小湊鉄道小湊鉄道線が開通し、高滝駅が開業しました。

現代

第二次世界大戦後の1954年（昭和29年）には、高滝村、富山村、里見村、白鳥村が合併し、加茂村となりました。1967年（昭和42年）には加茂村が市原市に併合され、高滝は市原市の一部となりました。高滝ダムは1990年に完成し、養老川の治水と上水道・農業用水の供給に貢献しています。

年表

1889年（明治22年）- 町村制実施により高滝村などが合併、高滝は高滝村の大字となる。
1954年（昭和29年）- 高滝村などが合併し、加茂村の一部となる。
1967年（昭和42年）- 加茂村が併合されたことにより、市原市の一部となる。

世帯数と人口

2022年（令和4年）4月1日現在の世帯数と人口は以下の通りです。

(具体的な数値はデータがないため省略)

通学区域

全域が市原市立加茂小学校および市原市立加茂中学校の通学区域となっています。

施設

高瀧神社

交通

鉄道

小湊鉄道小湊鉄道線が通過し、高滝駅があります。駅の出口は西側（養老地区側）にのみ開かれています。

道路

千葉県道168号鶴舞馬来田停車場線
千葉県道173号南総月出線
レイクライン（市原市道）

高滝湖北側の飛び地部分を通過する道路:

国道468号（首都圏中央連絡自動車道）
千葉県道81号市原天津小湊線

脚注

注釈

(注釈の内容は省略)

出典

(出典の内容は省略)

参考文献

小沢治郎左衛門『上総国町村誌第一編』1889年。
千葉県市原郡教育会『千葉県市原郡誌』千葉県市原郡、1916年。
『明治22年千葉県町村分合資料七市原郡町村分合取調』1889年。

外部リンク

千葉県市原市高滝 (122192440) - 国勢調査町丁・字等別境界データセット

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