高雄機廠

高雄機廠：台湾鉄道を支えた歴史と移転

高雄機廠（たかおきしょう、英語: Kaohsiung Railway Workshop）は、かつて台湾鉄路管理局（台鉄）機務処に属していた鉄道工場です。台北機廠（現富岡車両基地）、花蓮機廠と並ぶ、台鉄の三大検修拠点の一つでした。2015年以降、高雄駅周辺の高雄機務段と共に、その機能は段階的に屏東県の潮州車両基地に移転し、移転完了後は高雄市政府主導による再開発が予定されています。本機廠に隣接していた高雄臨港線の機廠駅についても併記します。

歴史

高雄機廠の歴史は、1917年に高雄港駅北側（現在の塩埕区）に設立された台湾総督府鉄道の「高雄鉄道工場」にまで遡ります。戦後、現在の名称に改称され、台湾鉄路管理局の傘下となりました。輸送力の増大と業務量の拡大に伴い、1970年から段階的に現在の鳳山区に移転し、1975年に全面移転が完了しました。この移転は、より効率的な車両メンテナンスと修理作業を可能にするための重要な措置でした。

立地と施設

高雄機廠は、東側の武慶二路に正門があり、西側は凱旋三路、北側は武昌路に面しています。南側には前鎮調車場に繋がる線路があります。総面積は約27ヘクタールに及び、台鉄の旅客車、貨物車の検修、改装工事、廃車の解体、組み換えなどが行われていました。敷地の東南角には、南区供応廠（資材工場）も併設されていました。

機能

高雄機廠は、その設立当初から台湾の鉄道車両の重要な検修拠点としての役割を担ってきました。1971年には、高雄市立高雄高級工業職業学校と共同で3年制の「鉄路機車運転科」を設置し、鉄道技術者の育成にも貢献しました。当初は貨車専業でしたが、1990年に客車も手がけるようになり、台北機廠から無動力客車の検修機能が移管されました。1993年には客車工場が増設され、3-5年の長周期検査（三級検修）と臨時検修を一手に担うようになり、年間約600両の車両を検修する、台鉄の無動力旅客車両検修における最大の拠点となりました。また、2004年以降に多発した列車妨害行為により脱線した車両の修理も行っており、2017年には総統花車の検修も担当しています。

組織

高雄機廠は、人事室、会計室、政風室、総務室、労工安全衛生室のほか、技術組、工作組、材料組、そして第一から第四の工場で構成されています。2015年時点では、約380人の職員が在籍していました。各工場では、それぞれ異なる作業が専門的に行われており、第一工場では木工、塗装、防錆などの外観作業、第二工場ではメンテナンス作業、第三工場では車体の修理、製造、第四工場では配線などの電機工事が行われていました。

運行と機廠駅

高雄臨港線を通じて、検修車両が出入りしていました。2015年には、内部見学のための郵輪式列車が運行されました。機廠駅は、高雄臨港線の従業員専用駅で、従業員専用列車が発着していました。2014年の高雄ガス爆発事故で一時的に閉鎖されましたが、後に再開されています。しかし、2018年9月末に高雄臨港線が廃止されたことに伴い、その役割を終えました。

移転と再開発

2015年から、屏東県潮州鎮に建設された潮州車両基地への機能移転が段階的に進められました。2021年11月29日には、潮州車両基地に併設された潮州機廠への完全移転が完了し、高雄機廠はその歴史に幕を下ろしました。移転後の跡地は、人口密度の高い地域における再開発プロジェクトとして、駐車場不足の解消や緑地面積の拡大などが期待されています。

鉄道著作者の間では、高雄機廠の全域保存を求める声も上がっています。しかし、移転後も「部署名としての高雄機廠」は存続しています。

ライトレール

高雄機廠の周辺には、高雄ライトレールの駅が設置されています。北西角にはC35 凱旋武昌駅、南西角にはC36 凱旋二聖駅があります。また、前鎮調車場付近にはC37 軽軌機廠駅も設置されています。

周辺施設

高雄機廠の周辺には、台鉄前鎮調車場跡、高雄捷運環状軽軌軽軌機廠駅、高雄鉄路医院高雄機廠分診所などの施設があります。また、凱旋三路、瑞豊国民中学、二聖医院も近くにあります。

アクセス

高雄機廠へは、高雄市公車を利用できます。武昌路口、二聖一路口、鐵路機廠、鐵路機料廠の各バス停が最寄りのバス停です。

高雄機廠は、台湾の鉄道史において重要な役割を果たした施設です。その移転と再開発は、高雄市の都市構造にも大きな影響を与えるでしょう。

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