鮮于輔

鮮于輔（せんう ほ）

鮮于輔（生没年不詳）は、後漢時代末期から三国時代にかけての魏に仕えた軍人、政治家。幽州漁陽郡の出身です。

事跡

公孫瓚への復仇

当初、劉虞に仕え、その従事となっていました。初平4年（193年）に劉虞が公孫瓚に殺害されると、鮮于輔は仇を討つため、同僚の斉周や騎都尉の鮮于銀と共に、閻柔を烏桓司馬に擁立し、漢族と北方民族からなる数万の軍勢を集結させました。

鮮于輔と閻柔らは、公孫瓚軍の漁陽太守・鄒丹を攻撃し、これを打ち破り、鄒丹以下4000人余りの首級を挙げました。さらに、劉虞を慕っていた烏桓の蘇僕延、袁紹の下に逃れていた劉虞の子・劉和、袁紹軍の麴義らと合流し、総勢10万の軍勢で公孫瓚を攻撃し、幾度も打ち破り、建安4年（199年）の公孫瓚滅亡に大きく貢献しました。

魏における活躍

公孫瓚滅亡後、鮮于輔は国人に推戴され、その旧領を統治し、公孫瓚の元配下であった田豫を長史として抜擢しました。後に曹操と袁紹の戦いで北方が混乱すると、田豫が鮮于輔に対し曹操への帰順を説いたため、これに従いました。曹操は鮮于輔を度遼将軍に任命し都亭侯に封じ、遼西以西の幽州6郡（遼西・右北平・広陽・漁陽・涿郡・代郡。上谷郡は護烏桓校尉閻柔が担当）を統治させました。

建安5年（200年）の官渡の戦いでは、曹操のもとへ出頭し袁紹との戦いに従軍しました。曹操は袁紹軍の潰走を喜び、鮮于輔ら幽州の諸将の協力に感謝しました。建安10年（205年）4月、三郡の烏丸が獷平において鮮于輔を攻撃しましたが、8月に曹操が救援に駆けつけ、烏丸は塞外へ逃走しました。

建安18年（213年）5月、曹操に魏公になるよう荀攸らと共に勧進を行いました。『魏公國勧進奏』では程昱や王朗よりも上位の十番目に名を連ねています。

黄初元年（220年）に曹丕（文帝）が即位すると虎牙将軍に任命され、黄初5年（224年）頃には輔国将軍となりました。曹丕の家臣団が曹丕に対し、後漢からの禅譲を受けるよう勧めた『魏公卿上尊号奏』では、虎牙将軍・南昌亭侯として曹洪・曹真・曹休・夏侯尚ら曹丕の親族や、張郃・徐晃・張遼といった功臣たちよりも上位の六番目に名を連ねています。

魏では、北方民族との交渉窓口役を務めていたようで、黄初5年頃に鮮卑の大人（酋長）である軻比能との折衝に当たっています。その一方、黄初年間には曹丕の命令で、蜀漢の劉禅に内密の詔を送り、投降を薦めていたとされています。徐邈が禁酒令を破って曹操に処罰されそうになった際には、これを弁護しました。

小説『三国志演義』には登場しません。

脚注

参考文献

『後漢書』列伝63 公孫瓚伝
『三国志』魏書8 公孫瓚伝
『三国志』魏書1 武帝紀
『三国志』魏書26 田豫伝
『三国志』魏書30 鮮卑伝
『三国志』蜀書3 後主伝

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