徐邈

徐邈（じょ ばく）

徐邈（172年 - 249年）は、後漢末期から三国時代の魏に仕えた政治家で、字は景山、幽州燕国薊県（現在の北京市周辺）の出身です。

生涯

曹操が河北を平定した際にその才能を見出され、丞相軍謀掾に任じられました。奉高県令を経て東曹議令史となり、魏が成立すると尚書郎に昇進します。当時、禁酒令下において酒に酔い、曹操に「聖人（清酒の隠語）」に会ったと答えて怒りを買いましたが、鮮于輔の弁護により処罰を免れました。

その後、隴西太守、南安太守を歴任し、曹丕（文帝）の即位後は、譙県令、平陽太守、安平太守、典農中郎将を歴任し、関内侯の爵位を得ました。曹丕はかつての失言をからかいましたが、徐邈の機知に富んだ対応を評価し、撫軍大将軍軍師に任命しました。

曹叡（明帝）の時代には、228年に涼州刺史に任じられ、使持節護羌校尉を兼任し、蜀漢との国境守備を担いました。同年、諸葛亮の北伐が開始されると、隴右三郡が呼応して反乱を起こしましたが、徐邈は迅速に鎮圧しました。

河西地域は慢性的な食糧不足に悩まされていましたが、徐邈は塩池の修復や水田開発を推進し、食糧生産を増加させました。余剰の食糧を金や馬と交換して朝廷に献上し、民間の武器を没収する一方で、仁義による教化を徹底しました。その結果、民衆から深く信頼され、西域との交易路を開拓し、異民族の朝貢を促しました。

羌族の柯吾を討伐し、都亭侯に封じられ、建威将軍に任じられました。羌族に対しては、些細な過失には寛容でありながら、重大な罪には厳正に対処することで、その信頼を得ました。俸禄は全て将兵に分け与えたため、私生活は困窮していましたが、曹叡はこれを嘉し、物資を支給しました。

240年には大司農、241年には司隷校尉に昇進しました。娘の結婚相手を選ぶ際、属官の中から娘自身に選ばせたところ、王濬が選ばれました。後に官を辞し、光禄大夫となりました。

248年には司空に推挙されましたが、高齢と道義上の理由から固辞し、249年に78歳で没しました。葬儀は三公の礼遇をもって執り行われ、穆侯と諡されました。

254年には、田豫、胡質と共に、その功績と清廉な生活が評価され、遺族に穀物と銭が与えられました。

徐邈の人物評として、曹操の時代には洒脱、晩年には狷介と評されています。盧欽は、徐邈の変わらぬ態度を評価し、世俗の変化に流されない人物であると称えました。東晋の袁宏は『三国名臣序賛』において、徐邈を魏の名臣の一人として挙げています。

小説『三国志演義』には登場しません。

出典

* 陳寿『三国志』魏書27 徐邈伝

もう一度検索