鰻温泉

鰻温泉

鰻温泉は、鹿児島県指宿市に位置する、鰻池の湖畔に湧く温泉です。江戸時代から続く歴史ある温泉地で、硫化水素泉と単純温泉の2種類の泉質を楽しむことができます。源泉温度は88℃と高温で、その効能は皮膚病、神経痛、病後回復など多岐にわたります。

温泉地

温泉地は鰻池の北東部に位置し、集落の中には公衆浴場や民宿が点在しています。この地域の特徴として、活発な噴気活動が挙げられ、高温の噴気を利用した「スメ」と呼ばれる蒸し器が、古くから炊事に活用されてきました。温泉街の風情とともに、独特の文化も感じられる場所です。

歴史

鰻温泉の歴史は江戸時代に遡ります。山川の僧・盈寿が開発の祖とされており、江戸時代後期の地誌『三国名勝図会』には、皮膚病に効能がある温泉として紹介されています。1901年（明治34年）には公衆浴場が開設され、「区営鰻温泉」として地域の人々に親しまれてきました。

西郷隆盛ゆかりの地

鰻温泉は、西郷隆盛が愛した温泉としても知られています。「樺山資紀文書」によると、西郷は1874年（明治7年）に13頭の犬と2人の侍従を連れてこの地を訪れ、約1ヶ月間滞在しました。滞在中、西郷は昼間は開聞岳の山麓で猟を行い、毎晩温泉に入ったと伝えられています。西郷は福村市左衛門宅を滞在先とし、お礼に犬を贈ろうとしましたが、辞退されたため、代わりに襦袢（フランネル製シャツ）を記念として残したとされています。この襦袢は現在も保管されており、当時の様子を偲ぶことができます。

また、佐賀の乱で敗れた江藤新平が、逗留中の西郷に決起を促すために訪れ、会談を行った場所としても知られています。これらの経緯は、「樺山資紀文書」に詳しく記されており、1907年（明治40年）に福村市左衛門の妻と長男から依頼を受けた樺山資紀が、その内容を聞き書きしたものです。1936年（昭和11年）には「西郷隆盛逗留記念碑」が建立され、西郷隆盛と鰻温泉の繋がりを今に伝えています。

映画のロケ地として

鰻温泉は、映画『男はつらいよ 寅次郎真実一路』のロケ地としても使用されました。映画ファンにとっても、訪れる価値のある場所です。

アクセス

鉄道を利用する場合、指宿枕崎線山川駅で下車し、そこからタクシーで約10分です。徒歩の場合は約1時間かかります。

参考文献

黒川達爾雄　『かごしま文庫41 いで湯の国・鹿児島』　春苑堂出版、1997年、ISBN 4-915093-48-4。
山川町編　『山川町史（増補版）』　山川町長・中村治男、2000年。

関連項目

温泉
温泉街
外湯
温泉番付
* 日本の[[温泉地一覧]]

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