鳥居忠則

鳥居忠則について

鳥居忠則は、江戸時代前期の大名で、信濃高遠藩の第2代藩主です。壬生藩鳥居家4代目にあたります。正保3年（1646年）、高遠藩初代藩主である鳥居忠春の長男として生まれました。

寛文3年（1663年）に父・忠春が亡くなったため、家督を相続して高遠藩主となりました。しかし、父と同様に藩主としての能力に欠けていたとされ、藩財政は困窮しました。

藩政の失態

忠則の治世は、藩財政の悪化が深刻でした。木曽や松本の商人からの借金を返済しようとせず、商人が江戸幕府に訴える事態にまで発展したという逸話が残っています。これは、藩主としての責任感の欠如を示すものと言えるでしょう。

家臣の不祥事と失脚

元禄2年（1689年）6月には、江戸城馬場先門の守衛を務めていた忠則の家臣・高坂権兵衛が、持ち場を離れて旗本の長屋を覗いた罪で逮捕される事件が起こりました。高坂権兵衛は取り調べ中に主家に累が及ぶことを恐れて自殺しました。この事件により、忠則は幕府から家中不取締の責任を問われ、閉門を命じられました。

さらに、閉門中の同年7月23日に忠則は急死しました（一説には自害とも）。幕府は、忠則の藩政に対する評判の悪さや、家臣団を統制できていない状況を問題視し、忠則の跡を継ぐはずだった次男・忠英の家督相続を認めず、高遠藩は所領を没収され、改易となりました。

鳥居家の存続

鳥居氏は、鳥居元忠以来の名族であり、幕府への功績も大きかったため、幕府も鳥居家を完全に潰すことは避けました。特例として、忠英に能登国内の1万石を与え、能登下村藩を立藩させることで鳥居家は存続することになりました。

系譜

父: 鳥居忠春
母: 三浦正次の娘
正室: 森長継の娘
側室: 福永氏、神谷氏
子女:
鳥居忠英（次男） - 生母は福永氏
鳥居忠瞭（五男） - 生母は神谷氏

参考文献

長谷川正次『高遠藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2005年11月。ISBN 476847103X。


鳥居忠則は、藩主としての能力不足と家臣の不祥事によって、藩を改易に追い込んだ人物として歴史に名を残しています。しかし、その一方で、鳥居家が名族であったこと、幕府の温情によって、家名が存続したという側面も持ち合わせています。

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