鳥羽 (洛外)

鳥羽に関する歴史

鳥羽（とば）は、かつて京都の洛外地域に位置し、山城国紀伊郡に属していた鳥羽郷や鳥羽荘の名称を持つ場所を指します。現在は、京都市の南区にある上鳥羽、そして伏見区に属する下鳥羽にあたる地域として分割されています。
その地理的特徴として、鴨川と桂川が合流する地点に低湿地が広がっており、古くは鴨川が鳥羽の東側を流れる一方、南側には巨椋池に接していました。『和名類聚抄』では、「止波」や「度波」という読みも含まれています。

鳥羽の発展

平安時代の遷都以降、朱雀大路が羅城門から真南へ延び、鳥羽作道が整備されました。この道は、水系として淀川と接続し、その結果、鳥羽の河岸には「鳥羽津」という港や河港が築かれました。特に、貞観14年（872年）に作成された「貞観寺田地目録帳」において、「鳥羽」という地名が初めて確認されており、この時期には平安京の神泉苑の水が鳥羽から引かれていたことが示されています。
また、平安時代の初期には賀陽親王や藤原時平らが鳥羽に別荘を構え、その地が貴族たちにとっての憩いの場となりました。

重要な建造物とその影響

応徳3年（1086年）になると、白河上皇が藤原季綱から贈られた巨椋池の畔に離宮である「鳥羽殿」（現・城南宮）を手がけました。これは、3棟からなる御所と庭園、御堂から成る大規模なものでしたが、生前に完成には至らず、後にその孫である鳥羽上皇の時代に仕上げられました。鳥羽殿は南北朝時代の内乱による荒廃まで、歴代の治天の君たちにとって政治の拠点として機能しました。この場所から安楽寿院と呼ばれる名残が現存しています。さらに、鳥羽に建立された御願寺は、白河・鳥羽両上皇のための重要な空間であり、両者の在位時には天皇と女院の御願寺が建設されるなど、政治と宗教が深く結びついていました。

鎌倉時代から戦国時代への発展

鎌倉時代になり、鳥羽は西園寺家が知行し、治天の君の院政に向けた経済的な支えとなりました。この西園寺家の所領は「鳥羽荘」と呼ばれ、応仁の乱においてもその影響力が確認されています。また、室町時代には、取引の拠点として多くの物資が地方から淀川を経由して京都に運ばれていました。

文書に見られるように、室町後期において鳥羽北側は「上鳥羽」、南側は「下鳥羽」と呼ばれるようになり、江戸時代には完全に別々の村として扱われていました。さらに、戊辰戦争の際には鳥羽・伏見の戦いの歴史的な舞台にもなっています。

明治以降の変遷

明治22年（1889年）の町村制が導入された後、上鳥羽村と下鳥羽村はそれぞれ異なる道を歩むことになります。大正7年（1918年）には、上鳥羽村の一部が下京区に編入され、昭和6年（1931年）には残存する上鳥羽村が下京区に、下鳥羽村は伏見市などとともに新設の伏見区に加わりました。そして昭和30年（1955年）において、旧上鳥羽村を含む下京区南部が分離し、南区として独立しました。

このように、鳥羽は時代とともに変遷しながらも、京都の歴史と文化に大いに貢献してた場所でありました。

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