賀陽親王

賀陽親王（かやしんのう）は、平安時代初期の皇族で、桓武天皇の第十皇子として生まれました。高陽親王とも記されます。官位は二品、大宰帥。その生涯は、朝廷における重要な役職を歴任し、文化的な貢献も行ったことで知られています。

経歴

賀陽親王は、嵯峨天皇の治世末期である弘仁12年（821年）に四品に叙せられました。淳和天皇の時代には、弘仁14年（823年）に治部卿、天長3年（826年）には中務卿を歴任しました。仁明天皇の即位後まもなく、天長10年（833年）に三品に昇叙。承和7年（840年）には大宰帥に任命され、承和15年（848年）には再び治部卿に任じられました。文徳天皇が即位した嘉祥3年（850年）には、弾正尹に任ぜられ、斉衡2年（855年）には二品に至りました。

特に、斉衡2年（855年）には、大破した東大寺大仏の修造に尽力し、貞観3年（861年）3月には、東大寺大仏修理落成供養会を監修しました。この事業は、当時の仏教文化と国家の威信を示すものであり、賀陽親王の功績は大きかったと言えるでしょう。清和天皇の時代には、貞観2年（860年）に再び治部卿に任ぜられました。貞観5年（863年）には、体力の衰えを理由に致仕を願い出ましたが、許されませんでした。貞観13年（871年）正月には大宰帥を兼務しましたが、同年2月には長年務めた治部卿を辞任しました。そして、同年10月8日に薨去。享年78歳。最終官位は二品行大宰帥でした。

逸話

『今昔物語集』には、高陽親王（賀陽親王）に関する興味深い逸話が収録されています。それによると、高陽親王が建てた京極寺の周辺の田は、日照りの際に水不足に悩まされていました。そこで親王は、身長4尺（約120cm）の子どものからくり人形を製作し、田に設置しました。この人形は、両手に持った器に水が一杯になると、顔に水がかかる仕組みになっていました。人々が面白がって水をかけることで、日照りの時でも田は水不足になることはなかったとされています。この逸話は、賀陽親王の機知とユーモアを伝えています。

官歴

以下に賀陽親王の官歴をまとめます。注記がないものは『六国史』によります。

時期不詳：正六位上
弘仁12年（821年） 正月7日：四品
弘仁14年（823年） 11月13日：治部卿
天長3年（826年） 7月15日：中務卿。9月：常陸太守
天長10年（833年） 3月6日：三品
承和7年（840年） 正月30日：大宰帥
承和15年（848年） 2月14日：治部卿
嘉祥3年（850年） 5月17日：弾正尹
斉衡2年（855年） 正月7日：二品
貞観2年（860年） 正月16日：兼常陸太守。2月14日：治部卿、常陸太守如故
貞観9年（867年） 正月12日：兼上野太守
貞観13年（871年） 正月29日：兼大宰帥。2月9日：辞治部卿。10月8日：薨去（二品行大宰帥）

系譜

賀陽親王の父は桓武天皇、母は多治比真宗です。同母兄には葛原親王（子孫は桓武平氏）と佐味親王がいます。生母不詳の子女としては、長男の道野王（？ - 855年）、男子の忠貞王（820年 - 884年）、六男の利基王（822年 - 866年）、男子の忠範王（？ - 880年）がいます。

参考文献

森田悌『日本後紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、2007年
森田悌『続日本後紀』（上下巻）、講談社〈講談社学術文庫〉、2010年
武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録 上巻』戎光祥出版、2009年

外部リンク

高陽親王造人形立田中語今昔物語集. 巻第２４

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