鳴沙山

鳴沙山（めいさざん）

鳴沙山は、中国甘粛省敦煌市に所在し、特に有名な観光地である月牙泉の近くに位置しています。この砂山は風が吹くと独特な音を発し、まるで砂が鳴いているかのように聞こえるため、「鳴沙山」という名が付けられました。風が吹きつける晴れた日には、砂が流れる音が「管弦楽や兵馬が打ち鳴らす太鼓や銅鑼の音」に例えられ、その神秘的な音色は多くの観光客を魅了しています。

地理と歴史

鳴沙山は、広大な砂漠地帯であるクムタグ砂漠の一部を形成しており、東西に約40km、南北に約20kmと非常に広範囲に広がっています。元々は「神沙山」と呼ばれていましたが、音を出す特性から「鳴沙山」に改名されました。この特異な現象は古くから知られており、『史記』には「天気が良ければ音楽を奏でているかのようだ」との記載があります。

また、鳴沙山と月牙泉は、中国の国家級風景名勝区に指定されており、観光の等級においても最高のAAAAAが付与されています。ここでは、観光客がラクダに乗って美しい景観を楽しむアクティビティも人気です。

2015年には、敦煌ヤルダン国家地質公園とともに「敦煌世界ジオパーク」としての認定を受けました。これにより、環境保護だけでなく、地質学的な価値を持った観光地としての地位を確立しています。

鳴き砂の科学

鳴沙山で砂が鳴く現象の背後には、物理的な要因があります。長い時間をかけて砂粒の表面が十分に洗浄され、微細な粉状の物質が付着していないため、特定の摩擦音が生じるとされます。この特性が、鳴き砂として知られる現象の主な要因です。

他の鳴沙山

中国には、敦煌の鳴沙山を含む「中国四大鳴沙山」が存在します。これには、内モンゴル自治区の響沙湾、寧夏回族自治区の沙坡頭、新疆ウイグル自治区ハミ市バルクル・カザフ自治県の鳴沙山が含まれます。さらに、新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州モリ・カザフ自治県にも鳴沙山が存在しており、鳴き砂を特色としています。

参考となる関連地点

日本にも似た現象が見られる場所が多数存在しています。例えば、宮城県気仙沼市大島の「十八鳴浜」、牡鹿半島にある「十八成浜」、能登半島や丹後半島の「琴引浜」、島根県邇摩郡の「琴ヶ浜」などが挙げられます。これらの場所でも、砂が鳴く現象が確認されており、鳴き砂として知られています。このような自然現象の特異性が、多くの観光客を呼び寄せているのです。

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