鳴海城

鳴海城の歴史と遺構

鳴海城（なるみじょう）は、愛知県名古屋市緑区鳴海町にかつて存在した日本の城です。別名として「根古屋城（ねごやじょう）」とも呼ばれています。この城は、室町時代の応永年間に足利義満の家臣である安原宗範によって築かれました。築城当時、当地にあった成海神社は北方の乙子山へと移転されましたが、その後、宗範の死によって城は廃城となったと伝えられています。

戦国時代の鳴海城

戦国時代に入ると、鳴海城は尾張国の武将、織田信秀の勢力下に置かれました。その配下であった山口教継は、駿河国の今川義元に備えて城主を務めていました。しかし、信秀が亡くなると、教継は息子の織田信長への忠誠を捨て、今川氏へ寝返ることになります。その後、教継は自身の息子、山口教吉に鳴海城の城主の座を譲りました。

1553年、信長は800の兵を率いて鳴海を攻撃しましたが、城を陥落させることはできませんでした。そして、教継父子は最終的に義元の命令で切腹を余儀なくされたとされ，これは信長の計略によるものとも言われています。その後、城主は外様大名の山口氏から、今川家の譜代大名である岡部元信に交代し、鳴海城は今川家直轄の重要な拠点となります。

信長は、鳴海城周辺に丹下砦、善照寺砦、中嶋砦を築き、引き続き敵の動向を探ることになりました。

桶狭間の戦いと城の運命

永禄3年（1560年）には桶狭間の戦いが発生します。今川軍は大高城に配置された織田方の拠点各砦を攻撃し、鳴海城に近い砦の排除を残すのみという段階に至りましたが、本陣の総大将、義元が信長の本隊の攻撃を受けて討ち取られ、軍は総崩れとなります。この戦闘では、鳴海城の兵士たちは無傷だったとされ、信長との交渉結果、元信は義元の首を交換条件に城を明け渡すことになります。これにより、鳴海城は信長の掌中に落ちました。

その後、佐久間信盛と信栄の父子が城主としての役割を務めることになりますが、天正末期までには鳴海城は廃城とされ、現在に至っています。城の名にちなむ「作町」という地名が残っていることからも、歴史的な要所であったことがうかがえます。

城の構造と遺構

資料によると、鳴海城は丘陵の西に広がる東西に長い城郭であったとされています。『鳴海誌』によれば、そのサイズは「東西75間半、南北34間」と記載されています。現在、城跡とされる地域は道路を挟んで西側の公園、天神社の近くの小高い場所にあり、碑が設置されています。

城跡公園は遊具を持つ公園として整備されていますが、特に目立つ遺構は残されておらず、ただの行き止まりの公園としての印象があります。近くにある東福院には、鳴海城の廃材を使って作られた門があります。また、天神社には城址碑と説明板が存在し、かつての城の様子を偲ぶことができます。

交通アクセス

鳴海城跡へのアクセスは、名鉄名古屋本線鳴海駅から北へ徒歩で約5分と便利です。往時の歴史を感じながら訪れる価値のある場所です。

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