鹿児島寿蔵

鹿児島寿蔵（かごしま じゅぞう）について

鹿児島寿蔵は、1898年12月10日に生まれ、1982年8月22日に亡くなった日本の著名な人形作家および歌人です。彼はその創造力を惜しみなく発揮し、特に紙塑人形の創始者として知られています。これは、粘土の代わりに和紙を使用した新しい人形制作技法であり、彼の作品は日本の工芸の中でも特異な存在感を放っています。

来歴

寿蔵は福岡県福岡市で生まれ、両親は筑前国秋月が出身です。彼は高等小学校を卒業後、井上式地理歴史標本作成所で教材模型の彩色に従事しました。この仕事を通じて彼は色彩感覚を養い、次第に人形制作に目覚めます。

工場長の有岡米次郎に師事し、博多人形製作を学ぶことが示されます。1917年には自らの窯を構え、テラコッタ風の手捻り人形を作った彼は、岡田三郎助にデッサンを学びながら技術を磨きました。

その後、1918年に短歌雑誌「ハカタ」の同人となり、1920年には東京に上京。ここで彼は、歌人としての道も歩むことになります。「アララギ」に入会し、島木赤彦や土屋文明から指導を受けるうちに、和紙の特性に魅了されていきました。

紙塑人形の創始

1932年、寿蔵は高野山での研修を通じてインスピレーションを得た結果、紙を生麩糊で練る技法で「紙塑人形」を創始しました。この独自の技法により、彼は新しい美の領域に挑戦しました。翌年には日本紙塑藝術研究所を開設し、1934年には「甲戌会」を結成、さらには人形美術の普及に尽力しました。これらの活動により、彼の名声は国内外に広がり、1936年には第1回帝展に「黄葉」を出品して初入選を果たしました。

日本工芸会と人間国宝

1954年には日本工芸会の設立メンバーとなり、常任理事として活動。また、1961年には「紙塑人形」の人間国宝に選ばれるなど、高い評価を受けることになります。戦後には著作権の確立にも力を注ぎ、日本著作家組合の美術部代表として活動しました。

歌人としての活動

歌人としても多才な寿蔵は、1944年に「アララギ」の選者を務め、1945年には短歌雑誌『潮汐』を創刊しました。1946年には関東アララギ会「新泉」を設立、数多くの後進を育成しました。1963年からは宮中歌会始の選者を断続的に務め、1968年には『故郷の灯』で第2回迢空賞を受賞しました。

受賞歴と晩年

1967年には紫綬褒章、1973年には勲三等瑞宝章を受賞するなど、彼の業績は高く評価されました。寿蔵の人生は81年という長いもので、1982年に83歳で亡くなるまで、彼は日本の美術界、文学界に多大な影響を与え続けました。

著書

寿蔵の残した著書には、歌集や技法書が多数あり、それらは彼の思索と創造の記録となっています。彼の作品に触れることで、当時の日本の文化や芸術の動向を伺い知ることができます。

鹿児島寿蔵の人生と作品を知ることで、彼が持つ独特の視点や美の感覚が現代にも息づいていることを実感できるでしょう。

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