鹿屋中継局

鹿屋中継局について

鹿屋中継局は、鹿児島県鹿屋市に設置されている、大隅半島における基幹的な中継局の通称です。この中継局は、テレビ放送やFMラジオ放送の中継を担っており、高隈山地に放送設備があります。また、800MHz帯デジタルMCAの中継局や、コミュニティFM局であるFMかのやの送信所は、鹿屋市南部の横尾岳に設置されています。

放送局の概要

鹿屋中継局には、複数の放送局が設置されています。

アナログテレビ・県域FM局: 高隈山系御岳の6合目付近（海抜920-930メートル）に位置していました。
デジタルテレビ: 海抜700メートル付近に設置されています。
FMかのや: 横尾岳に送信所があります。
AMラジオ: 南日本[[放送]]（MBCラジオ）が2003年3月まで、鹿屋市札元に中継局を設けていました。終戦直後には、アメリカ軍が放送局を置いていた時期もあります。

放送エリアは、鹿屋市を中心とした大隅半島の大部分をカバーしています。しかし、宮崎県の放送局が設置されている鰐塚山からの電波も受信できるため、MBCテレビや鹿児島テレビ放送（KTS）は宮崎民放への対抗策として中継局を設置しました。特に、MBCは宮崎[[放送]]（MRT）のテレビ本放送開始を受け、急遽設置計画を立てています。地上デジタル放送は、アナログ放送開始時のような対策は行われず、鹿児島・宮崎の両親局の開局から10ヶ月遅れての開局となりました。

年表

鹿屋中継局の歴史を年表形式でまとめました。

年代不明: 極東空軍（アメリカ軍）がAMラジオ放送局を設置（コールサイン：WLKA）。
1948年2月: 極東空軍のラジオ放送局が廃局。
1960年:
7月1日：NHK[[宮崎[[放送]]局]]の総合テレビが本放送開始。
8月：南日本[[放送]]（MBCテレビ）がテレビ中継局の建設を開始。
9月30日：MBCテレビに予備免許交付。
10月1日：宮崎[[放送]]（MRTテレビ）が本放送開始。
11月1日：NHK鹿児島[[放送局]]・MBCテレビが試験電波を発射。
11月10日：NHK鹿児島[[放送局]]の総合テレビとMBCテレビが本放送開始。
1961年:
1月：南九州新聞がラジオ局設置運動を開始（書類不足で却下）。
1月30日：MBCがラジオ中継局の免許を申請。
12月7日：MBCラジオ鹿屋中継局に予備免許交付。
1962年:
6月1日：NHK鹿児島[[放送局]]の教育テレビが本放送開始。
12月1日：MBCラジオのAMラジオ中継局が本放送開始。
1963年12月1日: NHK[[宮崎[[放送]]局]]の教育テレビが本放送開始。
1964年7月1日: NHK[[宮崎[[放送]]局]]のFM放送の試験放送開始。
1966年2月20日: NHK鹿児島[[放送局]]のFM放送の試験放送開始。
1969年11月: 鹿児島テレビ放送（KTS）に予備免許交付。
1970年:
3月：KTSが試験放送開始。
4月1日：テレビ宮崎（UMK）が開局とともに本放送開始。
4月16日：KTSが本放送開始。
1978年11月23日: MBCラジオの周波数が1060kHzから1062kHzに変更。
1982年:
9月25日：鹿児島放送（KKB）がサービス[[放送]]を開始。
10月1日：KKBが開局とともに本放送開始。
1984年12月1日: エフエム宮崎が開局とともに本放送開始。
1992年10月1日: エフエム鹿児島が開局とともに本放送開始。
1994年:
3月23日：鹿児島読売テレビ（KYT）がサービス[[放送]]開始。
4月1日：KYTが開局とともに本放送開始。
2003年3月31日: MBCラジオの鹿屋中継局（AMラジオ）が廃局。
2006年:
6月6日：FMかのやに予備免許交付。
6月22日：FMかのやが試験電波発射。
6月23日：FMかのやが試験放送開始。
8月4日：FMかのやに本免許交付、本放送開始。
2006年12月1日: デジタル放送の鰐塚山送信所が本放送開始。
2007年:
3月14日：デジタル放送の鹿屋中継局が起工。
7月30日：デジタル放送の鹿屋中継局に予備免許交付。
8月1日：デジタル放送の試験電波発射。
9月19日：デジタル放送の鹿屋中継局が竣工、試験放送を開始。
9月26日：デジタル放送の鹿屋中継局に本免許交付。
10月1日：デジタル放送の鹿屋中継局が本放送開始。
2009年6月: FMかのやの送信所が霧島ヶ丘から横尾岳に移転。
2011年7月24日: 全局アナログテレビ放送終了。
2015年:
3月31日：MBCラジオの鹿屋FM補完[[中継局]]に対し補助金交付決定。
10月14日：MBCラジオの鹿屋FM補完[[中継局]]に本免許交付。
11月1日：MBCラジオのFM中継局が本放送開始。

送信設備

地上デジタル放送

鹿屋デジタルテレビ中継局は、アナログ放送とは異なる場所に設置され、海抜高度が200メートルほど低くなりました。6局共同で建設されており、KKBは紫原の鹿児島本局からの電波を中継しています。候補地としては他に国見岳や横尾岳が挙げられていましたが、紫原の親局からの見通しが良いことや、薩摩半島南部もエリアに含められることから現在地に決定されました。ただし、近隣に海上自衛隊鹿屋航空基地のレーダーサイトがあるため、影響調査が行われました。

アナログテレビ放送

NHKとMBCは1960年、KTSは1970年、KKBは1982年、KYTは1994年にそれぞれ開局し、2011年7月24日に全局廃局しました。NHK鹿児島[[放送局]]は「鹿屋テレビ中継放送所」、MBCは「鹿屋テレビジョン中継局」または「鹿屋テレビ中継局」と呼んでいます。アナログテレビ放送の中継局としては、民放局では九州初、NHKでも延岡中継局に次いで九州で2番目の設置でした。KTSのエリア内世帯数は47,510世帯でした。

御岳の登山道沿いに設置されており、御岳6合目にKTSとKYTの局舎、そこから少し下がった場所にNHK、MBC、KKB、FM鹿児島の局舎があります。御岳の登山口からは徒歩30分程度かかり、車でアクセスすることはできませんでした。このため、災害時には局舎まで辿り着けないことがあり、地上デジタル放送の中継局が別場所に設置される要因となりました。

FMラジオ放送

FMかのやは横尾岳に単独で設置されており、エフエム鹿児島は枕崎中継局の電波を中継しています。MBCラジオはFM補完[[中継局]]として2015年11月に設置されました。

FMかのや: 横尾岳に単独で設置。
エフエム鹿児島: 枕崎中継局の電波を中継。
MBCラジオ: FM補完[[中継局]]として設置。所在地は高隈山とだけ公表されています。

主な放送エリア

大隅半島の肝属地区、特に肝属平野を中心に放送されています。地形的な関係から、鹿児島湾沿岸地域や旧内之浦町、旧輝北町など例外もあります。

テレビ放送

鹿屋市（旧輝北町除く）、肝付町の一部、東串良町、大崎町、志布志市の一部、曽於市の一部を中心に視聴されています。デジタル放送では、薩摩半島の鹿児島湾沿岸もエリアに含まれています。アナログ放送開始時の1960年には、室内アンテナで十分視聴可能とされ、遠距離受信も盛んでした。

FMラジオ放送

県域局は広範囲をカバーしており、大隅半島の大半で良好に聴取可能です。宮崎県南部でも聴取可能ですが、宮崎市周辺では混信が発生する地域もあります。

コミュニティFMのFMかのやは、県域局ほど広範囲をカバーしておらず、鹿屋市内でも聴取が困難な地域があります。しかし、見通しが良ければ薩摩半島や宮崎県でも聴取可能です。

AMラジオ放送

鹿屋市内には、過去に2回AMラジオ放送の送信所が設置されていました。

アメリカ軍放送: 終戦直後、極東空軍が放送局を設置（コールサイン：WLKA）。1948年2月に閉局。
MBCラジオ: 1962年に鹿屋市札元に中継局を設置。2003年3月末に廃局。
MBCラジオ（FM補完[[中継局]]）: 2015年11月、FM補完[[中継局]]として復活。

第三者無線

第三者無線として、九州移動無線センターが運営する中継局が横尾岳に設置されており、800MHz帯で送信しています。通話可能エリアは、テレビ放送の範囲に加え、垂水市や南大隅方面、宮崎県串間市もカバーしています。

参考文献

『全国テレビジョン・FM・ラジオ放送局一覧』 NHKアイテック, 2002.
『枕崎中継局・鹿屋中継局の放送中断についてお詫びと経過説明』エフエム鹿児島, 2009年2月24日.
『鹿児島テレビ10年史』鹿児島テレビ放送, 1980年5月.
『KKBのあゆみ - デジタル中継局竣工式（鹿屋中継局）』鹿児島放送, 2007年9月19日.
『鹿児島放送30年のあゆみ』鹿児島放送, 2013年.
『800MHz帯デジタルMCAのエリア拡大』九州総合通信局, 2004年9月27日.
『コミュニティ[[放送]]局に予備免許』九州総合通信局, 2006年6月6日.
『鹿児島県内のコミュニティ[[放送]]局2局が開局』九州総合通信局, 2006年8月4日.
『鹿児島県内の地上デジタルテレビジョン放送局に予備免許』九州総合通信局, 2007年7月30日.
『鹿児島県内の地上デジタル放送の試験放送開始』九州総合通信局, 2007年9月19日.
『九州地域におけるラジオの強靱化 -地上基幹放送ネットワーク整備事業及び民放ラジオ難聴解消支援事業の交付を決定-』九州総合通信局, 2015年3月31日.
『無線局免許情報検索』総務省, 2008年8月29日閲覧.
日本放送協会・編『ラジオ年鑑（昭和23年度版）』日本放送協会出版, 1948年.
日本放送協会・編『NHK年鑑』(1961年・1963年・1966年版).
『NHK年鑑 1962-1（1961年版）』 ISBN 4-89714-773-5
『NHK年鑑 1963（1963年版）』 ISBN 4-89714-775-1
『NHK年鑑 1966（1966年版）』 ISBN 4-89714-778-6
『南日本新聞』南日本新聞社, 1960年11月9日, 11月11日, 1970年4月17日, 4月22日, 1982年9月23日, 1994年3月23日, 3月31日. 2015年10月16日.
『南日本[[放送]]十年史』南日本[[放送]], 1963年.
『生き生き25年南日本[[放送]]のあゆみ』南日本[[放送]], 1978年10月.
『MBC50年の軌跡』南日本[[放送]], 2004年.
『MBC51〜60年の軌跡〜地域メディアとして〜』南日本[[放送]], 2014年.
『日向日日新聞』宮崎日日新聞社, 1960年10月1日.
『宮崎[[放送]]三十年史』宮崎[[放送]], 1984年12月.
『RADIO Time Table 2007.7 8 9』宮崎[[放送]], 2007年7月.
『UMKテレビ宮崎の30年』テレビ宮崎, 2002年.
『FM Miyazaki time table』エフエム宮崎, 2007年4月.

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