高隈山地

高隈山地は、鹿児島県鹿屋市と垂水市の境界付近に位置する山地で、南北約25km、東西約15kmに広がっています。この山地は、中心部にある大箆柄岳（おおのがらだけ）や御岳など、標高1,000mを超える山々の総称として「高隈山」とも呼ばれています。

自然

高隈山地は、ブナ林の南限として知られ、「森林生物遺伝資源保存林」に指定されています。また、高峠、大隅湖、猿ヶ城渓谷などの景勝地は「高隈山県立自然公園」として保護されており、豊かな自然が残されています。

地質

地質学的な観点では、高隈山地は高隈山付近から霧島山の南東付近まで、南北約60kmに及ぶ山地を指します。基盤となるのは、白亜紀に堆積した四万十層群という地層です。その上に、阿多カルデラ、姶良カルデラ、加久藤カルデラなどの火山活動による噴出物が積み重なって形成されています。

大箆柄岳の西側斜面には、第三紀に形成された直径約7kmの花崗岩ドーム「高隈花崗岩体」があります。この周辺には、タングステン、モリブデン、金、ビスマス、ウランなどの鉱脈が存在します。大箆柄岳や御岳などの山塊は、花崗岩の形成時に周辺の地層が加熱されてできた緻密なホルンフェルスが、侵食から取り残されてできたと考えられています。

歴史

高隈山地は古くから山岳信仰の対象とされており、江戸時代末期には、毎年3月から4月にかけて、盆山、大箆柄岳、小箆柄岳、妻岳、権現岳、中岳、近戸宮を巡る七岳参詣が行われていました。特に、盆山、大箆柄岳、小箆柄岳、妻岳は樹木を御神体として崇められていました。

主な山岳

高隈山: 日本三百名山および九州百名山に選定されている。
大箆柄岳（おおのがらだけ）: 標高1,236mで、高隈山地の最高峰。
小箆柄岳
御岳
妻岳
横岳
高峠
鵃岳（びしゃごだけ）
白鹿岳

参考文献
町田洋他編 『日本の地形 7 九州・南西諸島』 東京大学出版会、2001年、ISBN 4-13-064717-2
松本達郎ほか 『日本地方地質誌 九州地方』 朝倉書店、1973年

関連項目
日本三百名山
* 九州百名山

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