麻田雅文

麻田雅文（あさだ まさふみ、1980年 - ）は、日本の歴史学者であり、岩手大学人文社会科学部の准教授を務めています。

研究分野と業績

麻田氏の専門分野は、ロシア・ソ連と東アジア（満洲、中国、日本）の近現代史、および国際関係史です。特に、20世紀初頭から中期にかけての、ロシアと東アジア諸国間の複雑な関係性に焦点を当てています。

学歴
2003年：学習院大学文学部史学科卒業
2006年：北海道大学大学院文学研究科歴史地域文化学専攻修士課程修了（スラヴ社会文化論）
2010年：北海道大学大学院博士課程単位取得満期退学
2011年：博士（学術）の学位を北海道大学より取得（論文「中東鉄道経営史：ロシアと「満洲」、1896 - 1935年」）

職歴
2011年：日本学術振興会特別研究員
2012年：ジョージ・ワシントン大学エリオットスクール客員研究員
2013年10月 - 2015年3月：東北大学東北アジア研究センター教育研究支援者
2015年 - 現在：岩手大学人文社会科学部准教授

麻田氏の研究は、単なる歴史的事実の羅列にとどまらず、現代社会にも通じる普遍的な視点を提供しています。例えば、シベリア抑留に代表される、人権を顧みないロシアの戦い方について、「ロシアが各地で繰り返す『戦争の文化』であり、現在のウクライナ戦争でも顕著である」と指摘しています。この分析は、過去の出来事から学び、現在の国際情勢を理解するための重要な視点を提供しています。

受賞歴

2011年：第10回アジア太平洋研究賞（井植記念賞） - 博士論文「中東鉄道経営史」に対し
2013年：第8回樫山純三賞学術書賞 - 『中東鉄道経営史』に対し
2024年：第28回司馬遼太郎賞 - 『日ソ戦争』に対し

著作

麻田氏は、数多くの著作を発表しており、その内容は、ロシアと東アジアの歴史、国際関係を深く理解するための重要な資料となっています。

単著
『中東鉄道経営史――ロシアと「満洲」1896-1935』(名古屋大学出版会, 2012年)
『満蒙――日露中の「最前線」』(講談社選書メチエ, 2014年)
『シベリア出兵――近代日本の忘れられた七年戦争』(中央公論新社, 2016年)
『日露近代史――戦争と平和の百年』(講談社現代新書, 2018年)
『蔣介石の書簡外交――日中戦争、もう一つの戦場』上・下巻（人文書院、2021年）
『日ソ戦争――帝国日本最後の戦い』(中公新書, 2024年)

共編著
『ソ連と東アジアの国際政治 1919-1941』(みすず書房, 2017年) - 編集
『知略の本質――戦史に学ぶ逆転と勝利』(日本経済新聞出版社, 2019年) - 共著

解説
『ノモンハン 1939――第二次世界大戦の知られざる始点』(みすず書房, 2013年) - 解説

これらの著作は、学術的な価値が高いだけでなく、一般の読者にも理解しやすいように書かれており、歴史に関心のある人々にとって貴重な情報源となっています。

麻田雅文氏の研究活動は、過去の歴史を深く理解し、現代社会の複雑な問題に対処するための重要な手がかりを与えてくれます。その分析は、歴史的な出来事を単なる過去の遺物としてではなく、現代社会における様々な問題と関連付け、より深い理解へと導くものと言えるでしょう。

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