黄体形成ホルモン

黄体形成ホルモン（LH）について

黄体形成ホルモン（Luteinizing hormone, LH）は、脳下垂体前葉に位置する性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌されるホルモンです。LHは、卵胞刺激ホルモン（Follicle stimulating hormone, FSH）とともに主要な性腺刺激ホルモンの一つとして知られています。

構造

LHは、単純な構造を持たない糖タンパク質です。このホルモンは、タンパク質からなる二量体であり、各サブユニットは糖と結合しています。この構造は、FSHや甲状腺刺激ホルモン（TSH）、ヒト絨毛性ゴナドトロピン（hCG）といった他のホルモンと類似しています。LHの二量体は、αサブユニットとβサブユニットの2つのポリペプチドユニットから成り立っています。αサブユニットはLH、FSH、TSH、hCGの全てで同じであり、92個のアミノ酸で構成されています。一方、βサブユニットはLH特有で121個のアミノ酸からなっており、これがLHの生物学的機能とLH受容体との相互作用を可能にしています。また、LHの糖の部分には、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ガラクトサミン、グルコサミン、および重要な役割を持つシアル酸が含まれており、LHの生物学的半減期程度の短い20分とされています。

遺伝子

LHのαサブユニットに関連する遺伝子は、ヒトの染色体6のp21.1-23に位置しており、様々な細胞で発現します。LHのβサブユニットは、染色体19のq13.3に位置し、主に下垂体の性腺刺激ホルモンを産生する細胞で発現します。この発現は、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン（GnRH）によって調節されます。

活性

LHは男女両方において性腺の機能を刺激し、性ホルモンの産生を促します。具体的には、男性の精巣に存在するライディッヒ細胞がLHに反応してテストステロンを生成し、女性の卵巣においては、卵胞を刺激するFSHと相互作用し、エストロゲンを生成します。特に、女性の月経周期においては、LHの急激な増加（LHサージ）が排卵を促す重要な役割を担っており、排卵後は黄体を刺激してプロゲステロンの分泌を促します。通常、LHの濃度は子供の頃には低く、女性の場合、閉経後にその値が上昇する傾向があります。

LHの活性異常

LHの活性が不足することにより、様々な健康問題が引き起こされる場合があります。例としてはカルマン症候群、視床下部の抑制、下垂体の機能障害、高プロラクチン血症、性腺刺激ホルモンの欠損、そしてGnRHに関連する異常などがあります。対照的に、LHの活性が過剰な状態は、下垂体腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群、性腺機能不全などを引き起こす要因となることがあります。

市販されているLH

LHは、FSHと混合されて「パーゴナル」という商品名で販売されることがあります。また、尿中から抽出された性腺刺激ホルモン製剤や、組換えLHの形式で純粋なLHも入手可能です。これにより、ホルモン補充療法や治療目的で用いられることもあります。

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