黄梅院 (恵那市)

香林山 黄梅院について

香林山 黄梅院（こうりんざん おうばいいん）は、岐阜県恵那市串原木根に位置する曹洞宗の寺院です。山号を香林山と称し、本尊として十一面観世音菩薩を祀っています。恵那三十三観音霊場の第17番札所としても知られています。

歴史

黄梅院の創建年月や開山・開基については詳しい記録が残っておらず、不明とされています。しかし、この寺院が串原地区で唯一の寺院であり、かつては串原遠山氏の菩提寺として、その位牌が祀られていたと伝えられています。

1574年（天正2年）には、武田勝頼による東濃侵攻の際、恵那郡内の多くの寺社が兵火によって焼失しました。黄梅院もこの時、その災禍に見舞われたと考えられています。

江戸時代に入ると、串原遠山氏は旗本の明知遠山氏の家老となり、串原村は岩村藩の領地となりました。1632年（寛永9年）3月3日、岩村の盛巌寺の寶山文鐘が、岩村藩主であった松平乗寿の帰依を受け、黄梅院は往年の寺地に再興を果たしました。この際、寺の維持のために、田が一反五畝と畑が一反三畝が寺の付属地として許可されました。

元禄時代の記録である「元禄指出帳」によると、当時の黄梅院の建物は、客殿が長七間横三間、庫裡が長七間横四間、門が長弐間横九間であったと記されています。また、この記録には、元文年間に庫裡の建て直しを願い出たものの、間数の相違や鎮守、隠居家、土蔵、鳥居、雑物小屋、雪隠などの記載漏れがあったことも記されています。寺の境内地として、田が一反五畝歩、畑が一反三畝歩、林が縦八拾間横拾五間が松平和泉守の時代から御竿除地（年貢免除地）であり、丹羽式部少輔の除地の際にも御竿地であったと記録されています。また、境内の外に下田三畝歩、下畑一畝歩があり、これらは年貢地であったとされています。

境内

「香林山」「黄梅院」と刻まれた二本の石柱が立つ小径を登っていくと、鐘楼があり、その先の本堂へと続く石段の脇には、古木の梅の木が植えられています。本堂は四角錐の屋根が特徴で、周囲を山林に囲まれた静かな場所にあります。本堂内には、本尊である十一面観音が祀られています。

寺宝

黄梅院は、恵那市の文化財に指定されている涅槃図を所蔵しています。

参考文献

『串原村誌』 串原村役場 昭和43年
『恵那郡史』 恵那郡教育会 1926年
* 『東濃の古寺』 東濃教育事務所学校教育課 ききょう出版 昭和57年

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