黄華

黄華（こう か、Huang Hua、1913年1月25日 - 2010年11月24日）は、中華人民共和国の政治家であり、外交官として多岐にわたる分野で活躍しました。彼は国務院副総理、国務委員、外交部長といった要職を歴任し、中国の外交政策において重要な役割を担いました。また、中国共産党の第11期から第13期まで党中央委員を務め、第13期には中央顧問委員会の常務委員も務めました。

生い立ちと初期の活動

1913年、黄華は河北省磁県に生まれました。燕京大学を中退後、1935年には一二九運動に参加し、政治活動に関わるようになりました。1936年には中国共産党に入党し、革命運動に身を投じました。

延安時代には、エドガー・スノーやアグネス・スメドレーといった著名なジャーナリストの通訳を務め、国際的な視点も培いました。1941年からは朱徳の秘書として働きながら、外交分野にも従事しました。1946年には葉剣英の秘書となり、さらに政治の中枢で活躍しました。1949年には、国民党外交部の接収を指揮するという重要な役割を担いました。

外交官としての活躍

1953年、黄華は朝鮮戦争停戦交渉の中国側代表を務め、外交官としてのキャリアを本格的にスタートさせました。その後、外交部西ヨーロッパアフリカ局局長に就任し、国際的な舞台での交渉や外交活動に携わりました。

1954年の第一次インドシナ戦争休戦に関するジュネーヴ会議、1955年のバンドン会議には、代表団顧問および報道官として参加し、国際社会での中国の立場を明確にしました。

1960年から1971年までの間、黄華はガーナ、エジプト、カナダといった国々で大使を務め、それぞれの国との関係強化に努めました。1971年には、アメリカのヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官が中国を訪問した際、交渉を担当し、米中関係の正常化に向けた重要な役割を果たしました。

国際連合における中華人民共和国の代表権獲得後、黄華は初代国連大使に就任し、中国の国際社会における存在感を高めることに貢献しました。1976年には、喬冠華の後任として外交部長に就任し、国務委員も兼任しました。1978年には、日本の園田直外務大臣との間で日中平和友好条約に調印し、日中関係の発展に大きく貢献しました。また、アメリカとの国交正常化にも尽力しました。1978年の鄧小平の日本訪問、1979年のアメリカ訪問にも随行し、外交交渉の最前線で活躍しました。

その後のキャリア

1980年には国務院副総理に就任し、政府の中枢で政策立案や実行に携わりました。1983年には、第6期全国人民代表大会副委員長に選出され、引き続き中国の政治に貢献しました。また、全人代の代表団を率いて各国を訪問し、国際親善に努めました。1992年には、日中国交正常化20周年を記念して代表団長として日本を再訪し、友好関係の重要性を改めて示しました。

晩年と死

黄華は、2010年11月24日に腎臓病のため、97歳でこの世を去りました。彼の生涯は、激動の20世紀の中国の歴史と共にあり、外交官としてだけでなく、政治家としても中国の発展に大きく貢献しました。

彼の外交手腕と政治的リーダーシップは、今日でも高く評価されており、中国の外交史にその名を刻んでいます。

彼の業績は、今日の国際社会における中国の立場を理解する上で欠かせないものとなっています。

もう一度検索