黒川清実

黒川 清実（くろかわ きよざね）

戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した越後国の武将であり、同国の国人領主、黒川氏の当主。相模国の名家で、鎌倉幕府成立に功績のあった平姓三浦氏および和田氏の流れを汲む家柄に生まれた。越後国沼垂郡（現在の新潟県北蒲原郡周辺）の奥山庄に位置する黒川城を本拠とし、越後北部に勢力を持った国人衆「揚北衆」のうち、三浦党の一人として数えられている。

生涯

黒川盛実の子として誕生した。越後国内の動乱期にはその立場を度々変えている。享禄4年（1531年）の上条の乱では守護代長尾為景に味方したが、その後の天文4年（1535年）に起きた同じ乱においては、上条氏に与する側に回った。

天文16年（1547年）、長尾家の内部で、当主の長尾晴景と後の上杉謙信となる弟の景虎の間で家督を巡る争いが起こった際には、晴景を積極的に支援した。これは、晴景と対立する中条藤資が景虎を支持しようとしたことによるものであった。しかし、最終的に景虎が長尾家の実権を握り、やがて越後国の国主となるに及び、清実の立場は困難なものとなっていった。その後、清実は景虎（謙信）に恭順の意を示し、上杉家の主要な軍事行動である川中島の戦いにも参陣している。

天文23年（1554年）には、景虎から領内の郡司の干渉を受けないという特権を認められた。また、同時期には同族にあたる中条氏との間で領土を巡る争いも発生している。

天正3年（1575年）に作成された「上杉家軍役帳」によると、黒川清実は自身の直属の兵148名と同心（配下の国人や地侍）35名を合わせた軍役を課せられていたことが記録されている。これは当時の越後国内の国人衆（下郡）の中で、中条氏に次ぐ第2位の規模であり、黒川氏の勢力圏の大きさと上杉家における地位を示している。

上杉謙信の死後に勃発した家督相続争いである御館の乱においては、上杉景虎を支持する勢力に加わった。景勝方の拠点である鳥坂城（中条氏の居城）を攻撃したが、その隙を突かれて、中条氏の一族である築地城（築地館）主の築地資豊に自領を攻められる事態となった。後に占拠していた鳥坂城は築地資豊によって奪還され、伊達輝宗の仲介によって上杉景勝に降伏した。乱終結後も景勝に従い、天正10年（1582年）の新発田攻めの軍勢にも加わった記録がある。

系譜

父：黒川盛実
母：不詳
正室：色部憲長の娘（色部勝長の父にあたる色部憲長の娘）
子女：
長男：黒川為実。上杉家が会津へ移封された際に、黒川城を廃してこれに従った。さらにその後、米沢への転封にも同行し、1292石の知行を与えられている。

参考文献・史料

『越後文書宝翰集 三浦和田黒川氏文書』
『越後文書宝翰集 三浦和田氏文書』
『越後文書宝翰集 色部文書』
『中条家文書』

関連項目

黒川氏
胎内市：清実の拠点であった黒川村と、中条氏の拠点であった中条町は、両氏の相克の舞台となった地域を含み、2005年9月1日に合併して胎内市となった。

外部リンク

国指定文化財等データベース/越後文書宝翰集
* 国指定文化財等データベース/奥山荘城館遺跡

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