黒田斉隆

黒田斉隆（くろだ なりたか）

黒田斉隆は、江戸時代後期の大名であり、筑前国福岡藩の第9代藩主です。はじめは長暠（ながあきら）と名乗っていました。第11代将軍である徳川家斉は実兄にあたります。また、第7代藩主・黒田治之の甥でもあります。

生涯

安永6年（1777年）に一橋徳川家で、徳川治済の三男として誕生しました。幼名は雅之助といいました。

天明2年（1782年）に福岡藩主・黒田治高の末期養子となり、6歳で福岡藩黒田家の家督を相続しました。

天明3年（1783年）、重臣たちの意見を聞き入れ、藩儒の竹田定良と儒医の亀井南冥に藩校の創建を命じました。そして天明4年（1784年）に、定良が修猷館（現在の福岡県立修猷館高等学校）、南冥が甘棠館を開館しました。

寛政2年（1790年）には、実兄である家斉が将軍に就任した後、初めて拝謁しました。

同年10月25日、元服し、家斉から偏諱を授かり、斉隆と改名。従四位下侍従兼筑前守に叙任されました。

寛政5年（1793年）2月28日、初めて領地へ入る許可を得た際、家斉は斉隆の体調を気遣い、侍医の橘隆庵を同行させました。同年4月に福岡へ入り、翌年には領内を巡見し、領民の生活を視察、困窮している人々を顕彰しました。

寛政7年（1795年）6月、斉隆が病に倒れたという知らせを受けた家斉は、再び隆庵を福岡へ派遣しました。

しかし、同年6月23日に福岡城で死去。19歳という若さでした。幕府への報告は同年8月24日となっています。法名は周山紹礼敬徳院。黒田孝高や長政と同じく崇福寺に葬られました。

同年10月6日、側室・渡辺氏との間に生まれた松次郎（後の斉清）が遺領を継ぎました。

斉隆の治世中には、黒田家の先祖を祀る事業が行われました。天明3年（1783年）には、第3代藩主・黒田光之によって廃止された黒田綱之を祀る幹亮権現社を創立。また、初代・長政を祀る黒崎大明神を再興しました。さらに、黒田孝高の父・職隆の墓所が播磨国姫路で発見され、二百回忌の法要と墓所の築造が行われました。

家督の継承について

父である徳川治済は、将軍の実父として幕府内で大きな影響力を持っていました。先代の治高が死去前に斉隆を養子に指名していたことや、弟である先々代治之との繋がりから、両家の重臣と協議し、斉隆を幼いまま福岡藩黒田家の養子としました。

斉隆は若くして亡くなったため正室はいませんでしたが、側室・渡辺氏との間に第10代藩主となった斉清がいました。斉隆は幼い頃から文学を好み、儒学に親しんでいました。

もう一度検索