亀井南冥

亀井南冥：江戸時代の儒[[学者]]、医者、そして教育者

亀井南冥（かめい なんめい、1743年-1814年）は、江戸時代の多才な人物でした。儒[[学者]]、医者、教育者、そして漢詩人として、幅広い分野で活躍し、後世に大きな影響を与えました。

揺るぎない学問への探求

福岡市に生まれた南冥は、幼少期から父である村医のもとで学びました。その後、肥前蓮池の黄檗僧や、江戸の儒[[学者]]吉益東洞らに師事。特に、永富独嘯庵に師事した経験は彼の人生に大きな影響を与えました。永富は山県周南に学んだ人物であり、南冥は古文辞学を学ぶ蘐園学派に属することになります。医学においては、山脇東洋の流れを汲むことになります。

永富門下での南冥は、師の著作に序文を書くほどの才能を示し、「独嘯庵門下の三傑」の一人にも数えられました。帰郷後は父と共に開業医として働きながら、宝暦12年（1762年）には私塾を開設。多くの門人を育成し、教育者としての才能を開花させました。

金印発見と学問的貢献

南冥は、長崎や京坂への遊学を通して時代の最先端に触れ、幅広い知識を吸収しました。安永7年（1778年）、福岡藩主黒田治之に儒医として招かれ、天明4年（1784年）には、新設された甘棠館の祭酒（学長）に就任しました。

同年に志賀島で金印が発見されると、南冥は素早く『後漢書』を引用してその由来を説明し、『金印弁』を著して研究成果を発表しました。修猷館の学長であった竹田定良も同様の研究を行いましたが、南冥の研究の深さが評価され、彼の名は全国に知れ渡ることとなりました。南冥は金印に関する情報を全国の学者に送付し、その後の研究にも大きな影響を与えました。

寛政異学の禁と晩年

しかし、寛政2年（1790年）の寛政異学の禁により、南冥の立場は危うくなります。蘐園学派に属していた南冥は修猷館派からの攻撃を受け、寛政4年（1792年）には甘棠館祭酒を解任され、蟄居の身となりました。寛政10年（1798年）には甘棠館が焼失し、閉鎖。南冥は失意のどん底に突き落とされました。

それでも、南冥は息子の昭陽を中心に私塾「亀井塾」を再開。九州のみならず全国から弟子が集まり、多くの優秀な人材を育成しました。文化11年（1814年）、自宅の火災で亡くなりました。

亀井南冥の遺産

南冥は、医学書『南冥問答』『古今斎以呂波歌』や儒学に関する著作『論語語由』などを著しました。彼の医学思想は、当時としては斬新なものであり、多くの門弟に影響を与えました。『論語語由』は、荻生徂徠や朱子学とは異なる独自の解釈に基づいており、後世の渋沢栄一にも影響を与えたとされています。

南冥の門下からは、稲村三伯（蘭学者、蘭日辞書編纂者）、広瀬淡窓（咸宜園創設者）、など多くの著名な人物が輩出しました。

亀井南冥は、学問、医学、教育の三つの分野で傑出した業績を残し、後世に多大な影響を与えた人物と言えるでしょう。彼の生涯は、時代の変遷の中で揺れ動きながらも、常に学問と教育への情熱を燃やし続けた、波乱に満ちた人生でした。その生き様は、現代においても学ぶべき点が多く存在します。

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