黒田長堅

黒田長堅（くろだ ながかた）は、筑前国秋月藩の第7代藩主。交代寄合表向御礼衆・備中国成羽領5代領主、山崎義俊の次男として生まれた。母は黒田長邦の娘である此子。

生涯

安永3年（1774年）11月18日、先代藩主・黒田長恵の末期養子として家督を相続。母が第5代藩主・長邦の娘であったことから、女系ではあるが黒田家の血を引いていた。

しかし、天明4年（1784年）2月10日、長堅は若くして江戸藩邸で死去。享年15歳という若さであった。

将軍に御目見することなく亡くなった上、妻や子女もいなかったため、通常であれば幕府から養子縁組の許可が下りる見込みは薄く、秋月藩黒田家は御家断絶の危機に直面した。

御家断絶の危機と重臣たちの奔走

この危機を回避するため、秋月藩の重臣たちは宗家の福岡藩黒田家と相談し、策を講じた。

当初、公家・唐橋在家の三男である豊煕を替え玉にすることが計画された。豊煕の母は第4代藩主・長貞の娘であったためである。しかし、公家と武家では家風が大きく異なるため、唐橋家の豊煕と長堅をすり替えるこの計画は問題が多いとして中止された。

次善の策として、長堅の死亡を隠蔽した上で隠居願いを提出し、養子を迎えるという方針に切り替えられた。具体的には、長貞の外孫にあたる秋月種茂の次男・長舒を養嗣子として迎えることとなった。

こうした工作の結果、『寛政重修諸家譜』には「長堅長ずといへども重病ののち行歩かなはずして拝謁することあたはず」と、御目見が叶わなかった事情が記された。さらに、宗家の幼少の斉隆に代わり、長崎警備の「奉仕にたへたるものをえらびて家を継しめむ」という願いが許可されたとある。

長堅の公式な記録としては、天明5年（1785年）3月17日に隠居し、同年9月17日に16歳で死去したとされている。

系譜

実父: 山崎義俊
実母: 此子 - 黒田長邦の娘
養父: 黒田長恵
養子: 黒田長舒 - 秋月種茂の次男

関連項目

* 相良晃長 - 人吉藩主。秋月種茂の弟であり、黒田長舒の叔父にあたる。相良晃長も早世したため、公家から相良頼完が替え玉として迎えられ、すり替えが実行された。

黒田長堅の死は、秋月藩にとって大きな危機であった。しかし、重臣たちの知恵と宗家の協力により、家名存続の道が開かれた。この一件は、当時の藩政における様々な駆け引きや、御家存続に対する執念を垣間見ることができる事例と言えるだろう。

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