黒田長韶

黒田長韶（くろだ ながつぐ）は、江戸時代後期、筑前秋月藩の第9代藩主として藩政を担いました。第8代藩主・黒田長舒の次男として生まれ、母は奥平松平忠啓の娘である大円院（美須子）です。

文化4年（1807年）に将軍徳川家斉に御目見えし、同年12月には従五位下・壱岐守に叙任されました。その後、甲斐守に改めます。文化5年（1808年）に父の死去を受けて家督を継承し、秋月藩の藩主となります。

当時の宗家である福岡藩の藩主・黒田斉清が若年であったため、長韶がその補佐を務め、長崎警備にも従事しました。しかし、長韶自身には家臣団を統率する力が十分でなく、家臣の間小四郎らに権力が集中し、不正が横行する状況を招いてしまいます。そのため、秋月藩は逆に福岡藩から監督的な指導を受けることとなりました。

文政13年（1830年）に婿養子である黒田長元に家督を譲り、隠居しました。隠居後は官名を兵庫頭に改め、天保3年（1832年）には韶翁と号しました。天保11年（1840年）に秋月で死去しています。

系譜

父：黒田長舒
母：美須子 - 松平忠啓の娘
正室：兼子、寿光院 - 松平直恒の娘
側室：内藤氏、小山田氏
子女：
黒田長惺
慶子 - 黒田長元正室
平松時門室、後に立花次郎大夫室
秋月種殷正室
武田信禄正室、後に大田原広清正室
黒田利武室
養子：黒田長元 - 山内豊策の五男

黒田長韶の治世は、藩主としての統率力不足が露呈し、福岡藩の監督下に入るという苦難の時代でした。しかし、宗家の補佐や長崎警備といった役割を担い、激動の時代を懸命に生きた人物として、その名は歴史に刻まれています。

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