龍ヶ崎の撞舞

龍ヶ崎の撞舞

龍ヶ崎の撞舞（りゅうがさきのつくまい）は、茨城県龍ケ崎市上町に鎮座する八坂神社の祇園祭で、最終日に斎行される神事です。1999年に選択無形民俗文化財、2010年には茨城県の無形民俗文化財に指定されました。

毎年7月下旬の3日間にわたる八坂神社祇園祭の最終日、市内根町の撞舞通りに設置された八坂神社仮宮前で行われる神楽の一種で、雨乞い、五穀豊穣、無病息災を祈願します。

撞舞の概要

撞舞が行われる「つく柱」は約15メートルの丸柱で、先端に横木と円座が設けられています。舞の演じ手である舞男（まいおとこ）は、唐草模様の筒袖襦袢に裁着袴、雨蛙の被り物を身につけ、囃子に合わせてつく柱を登ります。

頂上に達すると円座に立ち、四方へ矢を放ちます。その後、逆立ちや仰向けに寝るなどの曲芸を披露し、つく柱から張られた白綱を移動しながら軽業を披露します。最後は、頭を下にして斜めに張られた綱を滑り降りるのが一連の流れです。

この軽業は、室町時代から近世初頭に見世物として流行した「蜘蛛舞」という曲芸に似ており、それらが祇園祭礼と結びついたと考えられています。

つく柱（撞柱）について

二間四方の櫓に据えられた八間の杉の丸柱が「つく柱」です。つく柱は龍を表しているとも言われ、東側は紺の木綿布（龍の背中）、西側は白の木綿布（龍の腹）で覆われています。柱の頂上には横木が組まれ、北側には轡、南側には馬の尾と呼ばれる紺染めの麻糸の房が垂らされています。横木の上には、直径120センチ、高さ85センチほどのサンダワラを120枚重ねて作られた円座が置かれ、白布で覆われています。

舞男について

舞男は、つく柱近くの蛙宿で唐草模様の筒袖襦袢に裁着袴を身につけます。顔の前には赤い布を垂らし、後ろには様々な色の紙を貼り付け鱗に見立てた白い布を垂らした雨蛙の被り物を被り準備を整えます。その後、八坂神社仮宮に赴き、神主からお祓いと御神酒を受けた後、弓矢を授けられます。櫓に戻った後、お囃子に合わせてつく柱に登ります。

雨蛙の面は、龍ヶ崎に伝わる『雨蛙のフク伝説』と関連があると考えられています。「フクはかつて龍ケ崎に住み、洪水の際には水を飲み込み、日照りの時には水を吐き出して雨を降らせ、農民を助けた」という伝説です。

撞舞の歴史

詳しい起源は不明ですが、1792年の古文書『天王社祭礼式記帳』に舞男の装飾に関する記述が確認されています。また、舞男が被った古い面には「天王町安政2年(1855)乙卯6月吉日　上辻中下組」と記されたものが確認されています。

八坂神社は龍ケ崎城主の土岐胤倫により1568年あるいは1577年に遷座される前は、祇園祭の際に御仮屋が置かれる根町にあったと推定されることから、その頃から行われていたのではないかとも伝えられています。

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