056型コルベット

056型コルベット（江島型）

056型コルベット（中国語: 056型轻型护卫舰、英語: Type 056 corvette）は、中国人民解放軍海軍が開発したコルベットであり、NATOコードネームは江島型（英: Jiangdao-class）として知られています。2012年から2020年までの間に、沿岸防衛を担うために72隻という異例のペースで建造されました。

開発の経緯

1980年代、人民解放軍海軍は、旧式の駆潜艇をベースに艦対艦ミサイルを搭載したミサイル艇、037-IG型（紅星型）および037-II型（紅箭型）を開発しました。これらのミサイル艇は、従来のミサイル艇よりも大型で外洋での活動に適していました。この経験を基に、037-II型をさらに大型化した900トン級の038型の開発が計画されましたが、実現には至りませんでした。

その後、設計は1,200トン級にまで大型化され、老朽化した053型フリゲートを代替可能なコルベットとして再設計されました。この結果として誕生したのが、056型コルベットです。

近年では、2024年9月に中国からカンボジアへ2隻が引き渡され、2025年1月にはアルジェリアが追加で6隻を調達することが発表されています。

設計の特徴

056型の設計は、2005年から2006年にかけてタイ海軍に輸出されたパタニ級哨戒艦（OPV）の設計を基にしていると考えられています。船型は長船尾楼型を採用し、ステルス性を考慮して上部構造には傾斜がつけられています。これにより、レーダー反射断面積（RCS）は500トン級の艦と同程度に抑えられています。

上部構造の容積を拡大するために中央船体構造が採用されていますが、重心を低く保ち、海上での安定性を高めるために船体の高さは意図的に低く設計されています。船体は半滑走型に似た形状であり、艦の後方から前方にかけて喫水が下がり、船首はV字型となっています。これにより、高速航行に適した揚力を発生させることができます。また、V字型の船首は優れた耐航性を持ち、荒れた海象条件下でも安定した航行が可能です。

船体の設計にはCAD（コンピュータ支援設計）による3Dモデリングが使用され、品質の向上と建造の効率化が図られました。また、建造を担当する各造船所では、アルミニウム合金製の船体建造を円滑に進めるために、事前に056型コルベットと同様の設計の模擬船体を建造するテストが行われました。

主機関にはディーゼルエンジンが採用され、2基による2軸推進と推測されています。航続距離については諸説ありますが、USNI（アメリカ海軍協会）は18ノットで2,000海里、ジェーン海軍年鑑は16ノットで3,500海里としています。

装備

056型の装備は、054A型フリゲートのものを基に、艦の規模に合わせて選択・調整されていますが、一部には新開発の装備も導入されています。

戦術情報処理装置としては、901型高速戦闘支援艦や903型補給艦と同系統のZKTシリーズが搭載されています。これは近海作戦用艦艇や揚陸艦艇向けに開発されたシステムであり、一説には052B型駆逐艦などに搭載されているZKJ-5をベースに開発されたとも言われています。捜索レーダーとしては、対空・対水上兼用の364型が搭載されています。054A型では対空用の382型と対水上用の364型が併用されていましたが、本型では364型のみが搭載されています。

主砲システムは、054A型と同様に、ロシア製のAK-176 76mm単装速射砲の中国版であるH/PJ-26が搭載され、347G型レーダーによって射撃指揮が行われます。対水上火力としては、同じく054A型と同型のYJ-83艦対艦ミサイルが搭載されていますが、搭載数は4発に半減しています。

防空火力としては、新型のHHQ-10近接防空ミサイル・システムが導入されています。これは、アメリカとドイツが共同開発したRAMに相当するシステムであり、従来のHQ-7個艦防空ミサイルと730型CIWSの中間的な射程をカバーし、両者を補完する目的で開発されました。そのため、056型には従来型のPDMSやCIWSは搭載されていません。本型には、航空母艦「遼寧」に搭載された18連装発射機よりもコンパクトな8連装発射機が搭載されています。

対潜装備としては、通常の056型は三連装短魚雷発射管を装備していますが、対潜能力を強化した056A型では、船尾に311型曳航ソナーが搭載され、YJ-83の発射筒からYu-8魚雷の発射が可能になっています。また、船体の両舷には新たに6連装対潜ロケット発射機が搭載されるなど、対潜能力の向上が図られています。

船楼の後部上にはヘリコプター甲板があり、Ka-28またはZ-9哨戒ヘリコプター1機の離着艦が可能です。搭載艇としては、艦後部扉から直接発進する小型戦闘上陸用舟艇1隻と、両舷側に内火艇2隻を搭載します。

運用

人民解放軍海軍では、056型は主に駆潜艇やミサイル艇の後継として配備されており、駆潜艇大隊を改編して編成された護衛艦大隊に所属しています。これらの部隊が水警区に所属しているか、艦隊の直轄であるかは不明です。

056型の派生型は、ナイジェリア、バングラデシュ、アルジェリアなどにも輸出されています。2021年12月には、初期型の22隻が海軍から退役し、中国海警局に移管されたと報じられています。これらの艦は、ミサイルや魚雷などの過剰な武装が撤去され、代わりに電光掲示板や放水銃、音響警告装置などが設置され、塗装も変更されています。

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