075型強襲揚陸艦

075型強襲揚陸艦：中国海軍の両用戦力強化を担う新型艦

075型[強襲揚陸艦]]は、中国人民解放軍海軍が運用する初の強襲揚陸艦]です。[ヘリコプターの運用能力と、ウェルドックによる上陸用舟艇の運用能力を兼ね備えた本艦は、中国海軍の両用作戦能力を大きく向上させる存在となっています。 従来の戦車揚陸艦]である072型シリーズに比べ、格段に高度な立体的な[[水陸両用作戦遂行能力を有しています。

075型誕生までの経緯

中国海軍は、台湾への侵攻作戦を想定し、長年に渡り両用作戦能力の向上に努めてきました。初期は鹵獲したLST-1級戦車揚陸艦を運用し、その後、072型シリーズ（玉坎型、玉亭型）を建造しました。しかし、これらの艦艇はヘリコプター甲板を有するものの、格納庫を備えておらず、艦型も小型であったため、大規模な両用作戦への対応には限界がありました。

転機となったのは、2007年の071型[揚陸艦]]の就役です。071型はドック型輸送揚陸艦]として、エアクッション揚陸艇や輸送[[ヘリコプターを搭載・運用可能となり、中国海軍の両用作戦能力は飛躍的に向上しました。075型は、071型の能力をさらに強化発展させた強襲揚陸艦として建造されました。アメリカ合衆国の議会調査局も、2012年の報告書で中国海軍によるLHD建造計画の可能性に言及しており、中国の作戦海域拡大を示唆していました。

設計と特徴

075型は、アメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦を参考に設計されています。矩形の全通飛行甲板と、右舷側に配置されたアイランド型艦橋構造物が特徴です。アイランドは側面から見ると「凹」字型をしており、艦首側には航海艦橋とマスト、中央に煙突、艦尾側には航空艦橋と後部マストが配置されています。外板には傾斜が付けられており、ステルス性への配慮が見て取れます。

飛行甲板の下にはヘリコプター格納庫、その下には物資積載区画とウェルドックが配置されています。このため乾舷が高く、中国海軍艦艇の中で最も背が高いと言われています。機関は071型と同系列のディーゼルエンジン4基を搭載し、CODAD方式で2軸を駆動、速力は22ノットと推定されています。

能力

輸送揚陸機能

075型は、約1600名の兵員を収容可能で、これは071型の2倍に相当します。作戦運用時には、水陸両用機械化合成大隊（約800名）と空中強襲大隊（約400名）を、装備とともに搭載できると考えられています。ウェルドックには726A型エアクッション揚陸艇2隻を収容できます。

飛行甲板には6カ所のヘリコプター発着スポットがあり、STOVL運用は想定されていません。格納庫は長さ約160メートル×幅約30メートルで、30機のヘリコプターを収容できるとされています。搭載ヘリコプターはZ-8J輸送ヘリコプター、Z-9/Z-8JH汎用ヘリコプター、WZ-10/Z-19攻撃ヘリコプターなどが想定されています。無人ヘリコプターの運用も想定されているようです。

個艦防御機能

075型は、従来の中国海軍両用艦艇よりも高度なC4ISRシステムを搭載しています。3次元レーダー、衛星通信レドーム、戦術情報処理装置、高速戦術データ・リンク、電波探知妨害装置など、空母に匹敵する充実した装備を備えています。対空兵器としては、1130型CIWSとHHQ-10近接防空ミサイルを各2基搭載しています。

運用状況と将来展望

2024年現在、075型は3隻が就役し、1隻が試験航行中とされています。建造は滬東中華造船で行われています。1番艦は2019年9月進水、2021年4月に「海南」と命名され就役しました。

現在、より大型の076型強襲揚陸艦の建造が進められています。076型は固定翼型UAVの運用に対応するとされており、中国海軍の両用作戦能力は、今後も更なる発展を遂げるでしょう。

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