1947年の日本公開映画

1947年（昭和22年）に日本で公開された映画

1947年は、第二次世界大戦終結から2年が経過し、日本が復興への道を歩み始めた激動の時代です。この年、映画館のスクリーンには国内外の様々な作品が映し出され、人々に束の間の娯楽や感動、あるいは現実を直視する機会を提供しました。この項目では、1947年1月1日から同年12月31日までの期間に日本国内で商業的に公開された映画作品群について概観します。

戦後復興期と映画公開

戦時中に比べて映画の製作・公開本数は増加傾向にありましたが、物資不足や検閲などの制約も依然として存在しました。そうした状況下で、日本映画は戦後の社会状況や人々の心情を描いた作品、あるいは占領軍の政策を反映した作品などが登場します。一方で、戦時中は途絶えていた外国映画、特にアメリカ映画の本格的な輸入・公開が再開され、多様なジャンルの作品が日本の観客に届けられました。これらの外国映画は、進んだ技術や自由な表現、そして異国の文化を伝え、大きな注目を集めました。

1947年の注目作品

この年に公開された作品の中でも、特に高い評価を受けた作品が数多くあります。当時の主要な映画批評誌であった『キネマ旬報』が選出したベストテンは、その年の映画界の動向を知る上で重要な指標となります。

日本映画

1947年のキネマ旬報ベストテンでは、以下のような作品が上位にランクインしました。

安城家の舞踏会：吉村公三郎監督による作品で、この年の日本映画の第1位に選ばれました。没落していく華族の姿を通して、戦後の社会変動を鋭く描いています。
戦争と平和：山本薩夫、亀井文夫監督による作品で、第2位となりました。同名のトルストイの小説とは異なり、日本の戦争の実態を描いたドキュメンタリー風の作品です。
今ひとたびの：五所平之助監督作品。戦後の混乱期における家族の絆を描き、第3位にランクインしました。
長屋紳士録：小津安二郎監督作品。戦災孤児を巡る人情話で、小津監督らしいユーモアと哀愁が漂い、第4位に入りました。
女優：溝口健太郎監督による作品。女優の半生を描き、第5位となりました。
その他にも、素晴らしき日曜日（黒澤明監督、第6位）、銀嶺の果て（谷口千吉監督、第7位）、四つの恋の物語（豊田四郎他監督、第8位）、花咲く家族（千葉泰樹監督、第9位）、象を喰った連中（槇本浩、楠田芳郎監督）、轟先生（成瀬巳喜男監督）、地獄の顔（マキノ正博監督）、月の出の決闘（丸根賛太郎監督）、いつの日か花咲かん（牛原虚彦監督）など、多様なテーマやジャンルの日本映画が公開されました。

外国映画

外国映画は、アメリカからの作品が圧倒的多数を占めました。長らく途絶えていたハリウッド映画の流入は、日本の観客にとって大きな喜びであり、刺激となりました。キネマ旬報ベストテン外国映画部門では、以下のような作品が上位に入っています。

断崖：アルフレッド・ヒッチコック監督作品。サスペンス映画の傑作として名高く、外国映画部門の第1位に輝きました。
荒野の決闘：ジョン・フォード監督による西部劇。第2位に選ばれた不朽の名作です。
心の旅路：マーヴィン・ルロイ監督作品。戦争で記憶を失った男を描き、第3位となりました。
町の人気者：フランク・キャプラ監督作品。第4位にランクインしたコメディ映画です。
百万人の音楽：ヘンリー・コスター監督作品。第5位に入りました。
第七のヴェール：イギリス映画。シドニー・J・フューリー監督作品で、外国映画部門の第6位となりました。
ブルックリン横丁：エリア・カザン監督作品。第7位にランクインしました。
影なき殺人：ジョン・ヒューストン監督作品。フィルム・ノワールの代表作の一つで、第8位となりました。
永遠の処女（J・ウォルター・ルーベン監督）、ガス燈（ジョージ・キューカー監督）、石の花（ソ連映画、アレクサンドル・プトゥシコ監督）は、同率で第9位に入りました。
その他にも、愛のアルバム、小麦は緑、征服、夜霧の港、クリスマスの休暇、アメリカ交響楽、嵐の青春、晴れて今宵は、四人の息子、我等の町、再会、スイング・ホテル、いちごブロンド、世界の母、ローラ殺人事件、美人劇場、恋愛手帖、鉄腕ジム、誰か夢なき、桃色の店、不思議な少年、西部を駆ける恋、青空に踊る、育ちゆく年、焔の女、モスコウの音楽娘、ジェーン・エア、オペレッタの王様、湖中の女、海を渡る唄、脱出、凡てこの世も天国も、ブーム・タウン、三本指の男、マーガレットの旅、妖婦など、多数の洋画が公開されました。

まとめ

1947年は、戦後の日本の映画界が国内外の作品を取り込みながら、活気を取り戻し始めた重要な年と言えます。日本映画は社会派作品や文芸作品、娯楽作品など多様化が進み、外国映画は長年のブランクを経て新たな名作や話題作が多数紹介されました。これらの作品群は、当時の日本社会に多大な影響を与え、その後の映画史においても重要な位置を占めています。

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