1967年ドイツグランプリ

1967年ドイツグランプリ：ニュルブルクリンクの激戦とオセアニア勢の快挙

1967年8月6日、西ドイツのニュルブルクリンクサーキットにおいて、F1世界選手権第7戦、1967年ドイツグランプリが開催されました。このレースは、F1マシンだけでなく、前年に引き続きF2マシンも参戦するという、異色の展開を見せたことで知られています。

コースレイアウトとマシンの進化

ピットレーン進入速度抑制のため、スタート・フィニッシュライン前にホーエンラインシケインが追加され、コース全長はわずかに25メートル延長されました。しかし、長期間にわたるマシンの開発・熟成により、この変更はラップタイムにほとんど影響を与えなかったとされています。

エントリーリスト：F1とF2マシンの混走

レースには16台のF1マシンに加え、10台のF2マシンがエントリーしました。F2部門には、様々なメーカーのマシンが参戦。マトラ、ロータス、ブラバム、プロトス、ローラといったマシンが、フォード・コスワース・FVAエンジンやBMWエンジンを搭載してレースに臨みました。中でも、木製合板モノコックを採用したプロトスは、そのユニークな構造が注目を集めました。F2ドライバーには、ジャッキー・イクス、ジョー・シュレッサー、ジャッキー・オリバーといった著名なドライバーが含まれていました。

予選：クラークの圧倒的な速さ

予選では、ジム・クラークがロータス・49でポールポジションを獲得。平均速度は169.812km/hを記録し、2番手のデニス・ハルム（ブラバム）に10秒近い差をつける圧倒的な速さを見せつけました。3番手にはF2のマトラを駆るジャッキー・イクスが入り、F1勢より後方のグリッドからスタートすることとなりました。

決勝：ドラマチックな展開とブラバムの勝利

決勝レースは、ドイツのカラーテレビで初めて中継された歴史的なレースとなりました。スタートではクラークが首位を快走。しかし、4周目に突如としてサスペンショントラブルに見舞われ、リタイアを余儀なくされました。その後は、ダン・ガーニーが一時的にトップに立ちますが、ドライブシャフトトラブルでリタイア。この混乱の中、ブラバムのデニス・ハルムがトップに浮上。チームメイトのジャック・ブラバムが2位、フェラーリのクリス・エイモンが3位でチェッカーを受けました。

この結果、ニュージーランド出身のドライバーが表彰台を独占するという、F1史上初めて（かつ唯一）の出来事が実現しました。イギリス人ドライバーが表彰台から遠ざかったのは、1962年モナコGP以来のことでした。また、このレースはホンダRA273の最終レースとなり、サーティースがRA273を駆り4位でフィニッシュしました。F2勢では、ジャッキー・オリバーが6位に入賞しましたが、ポイント対象外でした。

レースのインパクト

1967年ドイツグランプリは、F2マシンの参戦、コース変更、そしてドラマチックなレース展開など、様々な要素が絡み合った、記憶に残るレースとなりました。特に、オセアニア勢の表彰台独占は、F1の歴史に新たな1ページを刻む出来事でした。このレースは、F1マシンの進化、ドライバーたちの技量、そしてレースという不確定要素の面白さを改めて印象づけた、重要な一戦と言えるでしょう。

参考文献

en:1967 German Grand Prix (2019年3月18日 12:43:06(UTC) より翻訳)
林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年
アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘（訳）、CBS・ソニー出版、1989年12月
中村良夫『F-1グランプリ ホンダF-1と共に 1963-1968 (愛蔵版)』三樹書房、1998年

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